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【エバンジェリスト・ボイス】SysmonSearchによるログ分析

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サイバー・セキュリティ・ソリューション(CSS)部
エバンジェリスト フェロー 関原 弘樹

こんにちは!
CSS 部エバンジェリスト フェローの関原です。

猛暑、地震、水害と今夏の自然災害は強烈なものがありました。この秋は大きな災害がないことを祈ります。

さて、今回は JPCERT/CC 様からタイトル名のツールが公開されましたので導入部分のみですが、簡単に検証してみます。

以下紹介ページからの引用です。
JPCERT/CC ではマルウェアに感染した端末を起点として、他の端末への感染拡大やサーバーへの侵入など内部のネットワーク内に侵害が拡大する事例を多く確認しています。
侵害を受けた端末の調査には、動作したアプリケーションや通信などの詳細なログを日頃から取得しておくことが望まれます。
このような用途に使用できるツールとしてマイクロソフト社が提供している Sysmon というツールがあります。
Sysmon は、端末上で動作したアプリケーションの情報やレジストリエントリの作成、通信など Windows OS の様々な動作をイベントログに記録するツールです。
この Sysmon のログを調査する最も一般的な方法は、イベントログをテキストなどの形式に変換し検索する方法ですが、この方法では多数の端末を同時に調査することは困難です。
そこで JPCERT/CC では Sysmon のログを一元管理し、ログ分析を迅速かつより正確に行うことのできるツール「 SysmonSearch 」を開発し、公開しました。今回は、この「 SysmonSearch 」について紹介します。”

外部サイト: Sysmon ログを可視化して端末の不審な挙動を調査 ~SysmonSearch~(2018-09-06)


■目的
無償提供されている Sysmon SysmonSearch を利用して、どの程度のインシデントレスポンスやフォレンジックに関する分析が可能なのか、まずはさわってみようというのが趣旨です。

■Sysmonとは?
こちらの記事に詳しく紹介されています。

外部サイト: ※新しい仲間「 Sysmon 」はトラブルシューティングの必携ツールになりそうな予感

Sysmon Windows のシステムサービスおよびドライバーとしてインストールされ、システムのスタートアップからシャットダウンまでの間、プロセスの作成、ネットワーク接続、ファイルの作成日変更のアクティビティを監視して、イベントログに記録します。
Windows の起動直後からシャットダウンシーケンスの最終段階までのアクティビティが記録されるため、動作の不安定なシステムの原因調査、スタートアップやシャットダウンの問題調査、特定ユーザーのログオン/ログオフ問題の調査、マルウェアの挙動調査などに役立ちそうです。

本来の位置づけは動作の不安定なシステムのトラブルシューティングツールである Sysmon ですが、ポイントとしては以下の 2 点だと思います。

・サービスとして動作するので起動から終了までほぼすべてのプロセス記録、ファイル操作、ネットワーク通信が記録可能

MS 謹製の無償ツール

■利用するコンポーネントと連携
図で見ると速いですね。
関原画像0_718x373
外部サイト: ※出典  

文字で補足すると
Sysmon 」を監視対象クライアント(以下クライアント)に導入し、クライアント上の Eventlog にプロセス、ファイル、ネットワークのアクティビティを記録する。

Winlogbeat 」というアプリケーションもクライアントに導入し、 Eventlog SysmonSearch サーバ(以下サーバ)に送信する。

サーバ上では「 Elasticsearch 」が稼働しており、送信された Eventlog をサーバ上の DB に蓄積しておく。

サーバ上にはWebコンソールとして「Kiabna」も稼働しており「Elasticsearch」のDBと連携し、情報の検索と表示が可能。
さらにサーバ上ので稼働するもう一つのアプリケーション「 StixIoC 」により情報抽出が可能。

システムの利用者は管理 / 分析端末より Web コンソールにアクセスし、クライアントのアクティビティを検索し、確認することが可能。
といった形になります。

■インストール
手持ちリソースの都合上、今回は AWS 上に環境を構築します。

SysmonSearch サーバ
 ⇒ AMI
   ubuntu/images/hvm-ssd/ubuntu-bionic-18.04-amd64-server-20180912 (ami-07ad4b1c3af1ea214)
 ⇒インスタンスタイプ
   t2.medium Disk30GB
 ⇒セキュリティグループ Allow
  管理 / 分析端⇒ 22/TCP,5601/TCP  監視対象クライアント⇒ 9200/TCP  

★監視対象クライアント
 ⇒ AMI
   Windows_Server-2012-R2_RTM-English-64Bit-Base-2018.09.15 (ami-0f94c740726599c3a)
 ⇒インスタンスタイプ
   t2.medium デフォルト  

★管理 / 分析端末(社内 Lab から)
 ⇒ブラウザ Firefox Version 62.0.2

--
 作業

時間が無いので今回は手っ取り早い Docker を利用することとし、以下の記載通りにインストールします。

外部サイト: Jump-start-with-Docker

①まずは SysmonSearch サーバへのインストールです。
Docker 上で「 Elasticsearch 」「 Kibana 」「 StixIoC 3 つのコンテナが動作します。
Proxy サーバは使用しませんのでオプションである Proxy サーバの設定以外の 5 項目を実施します。
  # 今回は手間を省くためすべて "sudo su -" を実行した後に作業しています。
 # 本環境では 6. の前に "apt-get update" した後に "apt install docker-compose" する必要がありました。

 ⇒ 1.Clone SysmonSearch git repository
 ⇒ 2.Move to docker directory
 ⇒ 4.Set Virtual Memory on host device:
 ⇒ 5.Run the setup.sh
 ⇒ 6.Build an image

Docker Build 以降です。

 ⇒ How to Start Container
 ⇒ Set scheduled tasks
 ⇒ Loading the index template in Elasticsearch
 × How to Stop Container
   # 停止の仕方なので今回は実行しません。
 ⇒ Accessing the Kibana
関原画像①_1481x824
http://xx.xx.xxx.xxx:5601/

うまくいきましたね。

Client Setup 以下は挙動を記録したい PC に対してインストールします。

Install Sysmon
Sysmon を以下よりダウンロードしインストールします。
ここでは OS に合せて 64bit 版をインストールします。

外部サイト: ※Sysmon
関原画像②_676x545
EULA に同意します 関原画像②-1_676x547 関原画像②-2_1004x455
サービスとして動きます。
Install Winlogbeat
Winlogbeat を以下よりダウンロードしインストールします。

外部サイト: ※Winlogbea

関原画像③-1_677x498
解凍したフォルダをリネームして画像のフォルダに移動、 Powershell でインストールスクリプトをたたきます。
関原画像③-2_984x682
サービスコンソールからサービスを起動

  Winlogbeat configuration
 サービスが起動できることが確認できたら、本項に記載の通りエディタで Config を書き換えます。

関原画像③-3_1244x732  

 ★ Specify Elasticsearch IP address:
  #SysmonSearch サーバのプライベートアドレスを記載( [] は外す)
 ★ Sysmon's event logs to monitor:
  # 追記
 ★ Disable automatic template loading:
  # 項目が見当たらないのでそのまま挿入
 ★ Change the index name:
  # 項目が見当たらないのでそのまま挿入  

Winlogbeat サービスを再起動してインストールは完了です。
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■アウトプット

  関原画像④_1379x820

関原画像⑤_1379x820

プロセスもそれに紐付いたネットワークアクティビティも取れています。
関原画像⑥_666x413
いろいろ操作していたところレスポンスが鈍いので SSH からの top で状態を確認です。
インスタンスが小さすぎるのか、そのほかの問題なのか少し重いですね。
--
追記: t2.medium では遅すぎるので m5.xlarge に付け替え、 Disk 60GB にしました。それでも画像生成をする操作は絞り込まないともたつきます。

関原画像⑦_1924x1060

また、執筆時点では EK X-Pack 間の認証の関係で SysmonSearch サーバをリブートしてしまうと Kibana のログインエラーが出てしまう問題が解決していません。
このあたりだと思いますが…(確認する時間がありません ^^;

外部サイト: ※Kibana 6 Login is currently disabled

追記: WannaCry を踏んでみました。
関原画像⑧_1920x1080 派生したプロセスがボリュームシャドウコピーを削除する様子を捉えています。
関原画像⑨_1197x869

如何でしたでしょうか。
ではまた、次回のエントリーでお会いしましょう。

Hiroki Sekihara CRISC, CISSP, CEH, PMP, CCIE #14607

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関原 弘樹

株式会社インフォメーション・ディベロプメント フェロー / CISSP

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