期間は限られているけれども、クオリティにも妥協は許されない。普通に考えればかなり差し迫った状況です。しかし、力尽くで無理を通そうとしたり、何かを諦めたりしてしまうのではなく、実は「より自社のニーズにマッチする開発手法やツールを厳選していく」ことが「短納期と高品質を両立する」ことにつながるのではないでしょうか。
今回は、当社の提供するローコード開発ツール「WebPerformer」を、自社へ導入された企業様にお話を伺いました。
今回インタビューにご協力いただいたのは、「みずほ信託銀行株式会社」様です。インタビューでは、株式戦略業務部 部長を務める川島様、同じく調査役を務める西尾様に登場いただきました。サービス選定を担当された川島様、実際にローコード開発に携わられた西尾様に、WebPerformerを導入されたきっかけ、導入前後のご様子、今後の展望など、詳しくお話を伺いました。
みずほ信託銀行
株式戦略業務部 部長
川島 敬司様
みずほ信託銀行
株式戦略業務部 調査役
西尾 浩佑様
招集通知の掲載だけでなく、企業様と株主様のコミュニケーションの場に
――株式戦略業務部の業務内容と、皆様のご担当業務について伺えますか。
川島様:株式戦略業務部は企業様の株式実務を代行する証券代行業務の企画推進を担う部門で、営業推進や事務・システムの企画・運営を行っています。その中で我々は、企業様の株式実務を行ううえで必要な事務やシステムの企画を行っています。
――WebPerformerを導入される前は、どのような課題を抱えていらしたのでしょうか。
川島様:株式実務は会社法に則って行っていきますが、2022年9月に改正会社法が施行され、これまで書面で送付していた招集通知を原則Web化するということになりました。基本的には企業様のWebサイトに招集通知を掲載していただくこととなりますが、実務を代行している当行としても、Web化された招集通知を掲載できるシステムが必要だと考えました。
具体的には、株主総会の関連資料をPDFファイル化してWebサイトに掲載し、株主様がスムーズに閲覧できる環境を整えるといったことですね。ただ、システムを構築するからには、単純にPDFファイルを載せるだけではなくさらに付加価値をつけたいと考えました。企業様からメッセージを発信し、株主様からのご質問も受け付ける、インタラクティブなコミュニケーションを取れる場にならないだろうかと。業務をご委託いただいている企業様が本システムを通じて簡単に株主様と繋がれるようなサービスを期待したいと。
――検討にあたって、ローコード開発は最初から候補に挙がっていたのでしょうか?
川島様:ローコード開発、ノーコード開発については報道等で概要を知っている程度でした。それでも、Web系開発において非常に有効ではと感じていたところではあります。ただ、詳細については今回ID様からのご提案で理解したという次第です。
――他社の提案もご検討なさったのでしょうか?
西尾様:そうですね。他社からの提案も受け、ローコード開発に限らない形で検討を開始しました。他社は基本的にはスクラッチ開発で一から作る提案内容でした。ところが今回、開発期間が非常に限られていたため、「一部なら間に合いますので、残りは改めて」ですとか、「期日を遅らせましょう」というご提案が多かった中で、ID様からのローコード開発でのご提案は、ほぼ唯一の「当行の要望を期日までに実現できる」方法でした。実際に、開発期間が非常にタイトな中で、当行からの要望事項を最大限盛り込んでいただいたシステムを構築いただいたので、委託させていただいてよかったと思っています。
――他社が「間に合わない」と言うほどの仕様を期日までに盛り込むということは、クオリティや御社の負担など、なんらかの要素とトレードオフになる可能性もありますよね。そこを懸念されたりはしませんでしたか?
川島様:それはあまりありませんでしたね。ローコード開発はある程度標準化されていますから、ユーザーの要望が多ければ多いほど時間も手間もかかると言われますが、逆に提供される開発ツールがしっかりしていて、ユーザーの要望にマッチするものであれば、非常に効率的に開発できる。
今回は株主様向けのWebサイトですから、多くの機能を盛り込む凝った仕様というわけではなく、より「シンプルで、直感的に使っていただける」仕様を目指していました。そこが、ローコード開発やWebPerformerとマッチしたのではないでしょうか。
ローコード開発のアジャイル的な進め方がニーズにマッチしていた
――WebPerformerで開発された「スマートSRシステム」の概要について、教えていただけますか。
川島様:先ほども少しご説明しましたが、基本的には「(業務をご委託いただいている)企業様毎に、株主様宛ての招集通知をPDFデータで掲載できるWebサイトを作成する」システムです。加えて企業様毎のサイトでは、株主様が株主総会の概要や企業様からのメッセージを簡単に閲覧でき、株主総会に関する質問を登録できるようになっています。
西尾様:開発期間は約5か月、12名ほどで取り組みました。一部の企業様には「どういう機能があったらうれしいか」といったヒアリングも行いまして、その一部はリリース時から機能として盛り込みましたし、次回以降の開発で搭載を予定している機能もあります。
川島様:「企業様からのメッセージを企業様側でいつでも表示変更できる」仕様は、追加で要望したものを反映していただきました。同様のシステムではこれまであまり見られない機能で、気に入っています。
――今回当社としては、ウォーターフォール開発とアジャイル開発の特長を組み合わせるような形で進めさせていただきました。そういった進め方について、なにかお感じのことはありますか?
川島様:Web開発はアジャイル開発のように「今どうなっているか」をまめに見せていただく方がイメージしやすいですね。ユーザー側も安心できるといいますか、手戻りが少ない進行になったのではないでしょうか。
西尾様:情報システム担当者と共に確認する機会が多かったのですが、担当者も「逐一画面を見せてもらいながら進められるので、進めやすい」と喜んでいました。
川島様:そう、そこで初めて仕様の齟齬が明らかになったりして「こんなはずじゃなかった」というのもよくありますから。そういう意味で、アジャイル開発的な進め方はマッチしていたと感じます。
――導入前後の様子などで、印象に残っているのはどのようなものですか。
西尾様:「アプリはID様に作っていただき、 基盤は当グループのクラウドを使用する」ことになっておりましたので、ID様へ当グループのクラウドの仕様についてご説明するのに非常に苦労しました。ID様には私のつたない説明と、少ない情報をもとに必要な設定に関する情報などをまとめ上げていただき、非常に感謝しています。
――業務をご委託いただいている企業様や、株主様の反応はいかがですか。
西尾様:おかげさまで、株主様のアクセス数は予想よりも多くなりました。まだあまり普及していないシステムとしては、まず好調と言っていいのではないでしょうか。
川島様:株主様に「Webサイトで情報収集したい」というニーズが相応にあることを改めて実感することができました。来年の株主総会の時期に向けて、本システムの利便性等を説明し、さらなるご利用に繋げていきたいと思います。
議決権電子行使、電子株主優待券などとも連携して株主様がより便利になるように
――今後、WebPerformerや「スマートSRシステム」をどのように活用していきたいですか。
川島様:現在の機能をさらに拡充して、企業様と株主様がより便利に情報の発信・収集ができるようなシステムにしていきたいと考えています。
当社では「株主様の手続きの電子化」が着々と進んでいます。2018年にはスマートフォンを利用して議決権が行使できるようになりました。コロナ禍においては、株主総会もオンライン上でいわゆる「バーチャル株主総会」として行われました。株主優待にも電子マネーのように使えるデジタルギフトが登場しています。我々はこうした一連のシステムを「スマートシリーズ」と呼んでおりまして、「スマートSRシステム」を、スマートシリーズのポータルとして、すべてのシステム・サービスにつながるように発展させたいと考えています。
――IDともどもWebPerformerは引き続きお役に立てそうでしょうか。
川島様:ID様とみずほ信託銀行は、これまでシステム運用面において非常に強い繋がりを築いてきました。一方、アプリケーション開発は今回が初めてでしたので、正直なところ当初は「開発については未知数」だと見ていました。
しかし、今回非常に品質の高いアプリケーションを短期間で仕上げていただき「開発でもID様だ」というのを実感できました。スマートシリーズのポータル化や機能追加に関しては、引き続きお力添えいただきたいと考えています。加えてDX推進に関しても、アプリケーション部門としてお力を頼めるところがあればぜひご一緒したいですね。
――株主様にとっても「ここにアクセスすればすべてにつながっている」というポータルサイトは待ち望まれているものかと存じます。1日も早い実現へ向けて、引き続きサポートに努めさせていただきます。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
導入企業情報
社名 | みずほ信託銀行株式会社 |
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資本金 | 2,473億円 |
社員数 | 3,921人(2023年3月31日現在) |
弊社担当から
みずほ信託銀行様の先進的なサービス「スマートSRシステム」の開発をお手伝いする機会をいただきました。
短期間での開発が最大の課題でしたが、それを実現できたのも、お客様のご協力により活発な意見交換が進み、仕様が迅速に固まったことと弊社がご提案したローコード開発ツール「WebPerformer」を利用した高速開発を採用していただいたことかと思います。
今後もお客様が理想とするサービスを素早くかつ高品質にご提供できるよう取り組んでまいります。
グローバルイノベーションセンター
土井 学
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