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エバンジェリスト 藤原 和紀
CSS
部エバンジェリストの藤原です。
以前、このコラムで三菱電機の情報漏えい問題で「注意情報」が漏えいした可能性があると書かせていただきました。
【エバンジェリスト・ボイス】防衛関連企業への不正アクセス問題
今回、この注意情報が「高速滑空ミサイル」の試作機の発注先を入札で決めるための「性能要求事項」であると報道がありました。この「性能要求事項」にはミサイルの射程や耐熱性、推進力などが記されていると報道されています。
尚、本試作機は三菱電機以外の会社が落札したとのことです。
※外部サイト:朝日新聞 最新鋭ミサイルの性能情報漏洩か 三菱電機サイバー攻撃
「高速滑空ミサイル」とは発注時期から見て「島嶼(しょ)防衛用高速滑空弾」と推察され、実際に防衛装備庁から過去に「島嶼防衛用高速滑空弾の要素技術の研究試作」という公示が行われています。
島嶼防衛用高速滑空弾とは、ロケットモーターによって弾頭を高高度へ打ち上げ、弾頭を切り離した後、弾頭のみが超音速で目標に着弾するといった仕様の兵器で、島嶼防衛における抑止力を狙ったものとなります。
射程については専守防衛の観点から、沖縄
-
尖閣諸島間が約
430km
ですのでこのあたりで上限を定めるとみられています。
※外部サイト:防衛装備庁 統合装備
(
研究開発中のもの
)
幸いにも島嶼防衛用高速滑空弾の早期装備型の配備は 2026 年度、性能向上型は 2028 年度を予定しており、今回は要素技術の研究試作とある通り、研究の為の試作機の要求仕様が漏えいしたに過ぎません。
研究過程で仕様が大幅に変更となる可能性も高く、このような観点から「注意情報」に留まったと推測されます。
しかし、当初同社の発表では「社内調査の結果、防衛・電力・鉄道などの社会インフラに関する機微な情報、機密性の高い技術情報や取引先に関わる重要な情報は流出していないことを確認済みです。」とされていましたが、そこから徐々に真相が明らかになりました。今回特にデリケートな国境離島防衛に係る情報が漏えいした可能性があるという報道は、企業にとって非常にマイナスなイメージとなってしまいます。
皆様の会社でもリスクに備えるために定期的に事故のシミュレーションを実施し、フォレンジックなどの事故に備えた措置を検討頂く必要があるのではないでしょうか。
また、情報漏えいという観点では日経新聞社は
2020
年
5
月
12
日に個人情報流出があったと発表しています。
※外部サイト:日経新聞社 サイバー攻撃による社員等の個人情報流出について
情報漏えい事故は毎日のように起きていますが、これらの事象に共通するのは企業規模などによらず、侵入を完全に防ぐことは難しいということです。
以前のコラムの繰り返しになりますが、情報漏えいの多くのケースでは、流出後にユーザーからの問い合わせで判明する等、流出自体に気づかない例が多々あります。前述した企業は対策が行われていたからこそ、情報流出が早期に発見できたと考えるべきです。
以前から言われていますが、一般の企業で侵入を完全に防ぐことは不可能です。この為、侵入や漏えいを発見できる仕組みの導入や、事故発生時の被害を特定できる仕組みと、それを運用できる組織を作れるように心がけをお願いいたします。
・ マイナンバー通知カードの廃止
特別定額給付金の申請が個人番号 ( 以下、通称のマイナンバーと表記します ) カードをお持ちの方に限ってオンライン申請が可能になるということしたが、予想に反して市区町村の窓口が混雑していると話題になっています。申請済みの方は、すでに振り込まれたという話も広がっていますが皆様いかがでしょうか。
自治体によって期日に差が出てきていますが、申請期限については郵送方式の申請受付開始日から
3
か月以内と決まっています。申請漏れの無いようご注意ください。
そんな中ではありますが、マイナンバー通知カードが
5
月
25
日頃で廃止になったと一部で話題になっています。マイナンバーカードは持っていなくても、マイナンバー通知カードという紙のカードは皆さんのお手元にお持ちかと思います。
廃止以降は、通知カードの新規発行・再発行と、通知カードの住所や氏名などの記載変更ができなくなります。
それでは、廃止になると何か困るのかというと紛失した方や新規発行の方、記載事項に変更がある方以外はほとんど影響がありませんが、いざというときに困らないように廃止になったということを頭の片隅にでも置いておいてください。
・マイナンバー通知カードとは
今更ですが、マイナンバー通知カードとはどのようなものでしょうか。
通知カードとは住民のひとりひとりの個人番号を通知するもので、マイナンバーの確認のためのみに利用することができる書類です。本人確認書類としては使用することができませんので、本人確認が必要な場合は免許証などと併用する必要があります。
そもそも通知カードとは 2016 年 1 月からのマイナンバー制度の運用に先立ち、個人番号を速やかに通知するために 2015 年 10 月から送付が始まった書類で、あくまで一時的な措置です。
この為、コロナ禍というあまり良くないタイミングではありますが、当初の予定通りに廃止されるものとなります。
・今後はどのようになるのか
通知カードを利用するケースですが、主に次のようなケースがあります。
・勤務先・契約先への提示
・金融機関等への提示
・税務署、日本年金機構等への提示
・行政機関 ( 税、福祉、国民健康保険など ) への提示
このようなケースで、マイナンバーの記載のみで処理が可能な場合には問題は発生しません。マイナンバーは再発行しない限り一生同じ番号が使われるためです。
問題が起きる可能性があるのは、通知カードの提示や写しが必要な場合です。通知カードをすでにお持ちの場合は、有効期限はありませんので記載内容に変更が無ければそのまま使い続けることができるとされています。
記載内容に変更がある場合、具体的には引っ越しや結婚による改姓の場合は、今後は通知カードへの裏書きは行われなくなりますので、マイナンバーカードかマイナンバーが記載された住民票の写しや住民票記載事項証明書を発行しマイナンバーを証明する書類として利用することができます。
変更前の古い通知カードについては、規定により通知カードに記載されている氏名、住所等が最新の事項と一致していないと、マイナンバーを証明する書類としては使用できなくなると定められていますので、利用できない可能性が高いと言えます。
では、お子様の誕生などにより新たにマイナンバーが付与される場合はどのようになるのでしょうか。この場合は、個人番号通知書 ( 仮称 ) という A4 の書類が郵送される予定です。ただし、通知カードと違いマイナンバー法上の番号確認書類として利用できないとされており、提示の必要があればマイナンバーカードかマイナンバーが記載された住民票の写しや住民票記載事項証明書の発行が必要となります。
余談ですが、マイナンバーカード ( または住基カード ) があればコンビニ等で住民票の写しが取得可能になります。但し、住民票記載事項証明書の取得や、住民票の写しにマイナンバーや住民票コードの記載が可能かについては自治体で対応が異なります。
この為、同居の誰かがマイナンバーカードを持っていればコンビニで番号確認書類が取得可能と考えていると失敗することもありますので、あらかじめ調べておくことをお勧めします。
※外部サイト:地方公共団体情報システム機構 コンビニエンスストア等における証明書の自動交付
※住民票等へマイナンバーの記載が可能かどうかは各自治体でご確認ください。
・マイナンバーカードの期限
今回の特別定額給付金オンライン申請で問題になりましたが、マイナンバーカードは一度作れば終わりではありません。まず 10 年 ( 未成年者は 5 年 ) の有効期限があります。有効期限が過ぎたら再発行が必要です。また、電子証明書にも有効期限があり、こちらは 5 年となっていますが、いずれも窓口での再申請が必要になります。 ( 厳密にはそれぞれ 10 回目、 5 回目の誕生日まで )
更新が近づくと有効期限通知書が郵送されます。更新手続きは更新切れの 3 か月前から可能で、免許の更新手続きに似ています。
申請はスマートフォン、 PC 、証明用写真機、郵送で手続が可能ですが、受け取りは窓口のみとなります。他の書類と違い、マイナンバーカードはご本人が病気、身体の障害その他のやむをえない場合しか委任は出来ませんので、ほぼ自分で受け取りに行くことになります。
カードに有効期限を設けること自体には異論はありませんが、運転免許証と同様に希望者には郵送も可能にするなどの配慮は必要かと思います。
尚、券面事項 ( 氏名や住所等 ) に変更がある場合はマイナンバーカードも 14 日以内に届け出が必要です。引っ越しの場合は転出時点で電子証明書が無効になります。また、転入後に届け出を行わないと 90 日で自動的にマイナンバーカード自体が無効になりますので、速やかに手続きされることをお勧めします。
マイナンバーカードの再発行は新規発行とほぼ同じ流れですが、手数料はカード再発行が 800 円、電子証明書の発行が 200 円の計 1,000 円が必要ですのでご注意ください。
余談ですが、マイナンバーカードの IC チップは接触 / 非接触両対応となっています。水濡れ、折り曲げ、衝撃などにより破損する恐れがあり、その場合も再発行が必要となりますので、保管時にはご注意ください。 ( 本人証明書類としてはお使い頂けます。 )
・マイナンバーカードのパスワードの問題
今問題になっているマイナンバーカードのパスワードの仕様については以下の通りです。
・マイナンバーカード署名用暗証番号 (6 ~ 16 文字 )
※パスワードに使える文字
ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ0123456789
・利用者証明用暗証番号 (4 桁の数字 )
・券面事項入力補助用暗証番号 (4 桁の数字 )
・個人番号カード用 ( 住民基本台帳用 ) 暗証番号 (4 桁の数字 )
この中で、署名用暗証番号については5回連続で、利用者証明用暗証番号については3回連続でパスワードを間違って入力した場合にロックがかかる仕様になっています。
あまり利用頻度が高くない上に、パスワードに使われている用語がわかりづらく、失念やロックに繋がってしまうのが残念な仕様です。
特に、署名用暗証番号に使える文字が半角英字大文字のみというのがあまり一般的な仕様ではないため、ロックが増える結果になっていると想定されます。
いずれにしても、カード発行時のパスワードが印字された紙、あるいはメモを大事に保管する等したほうがいいでしょう。間違ってもマイナンバーカードと一緒に保管することは避けてください。
・マイナンバーカードの活用
今後のマイナンバーカード政策での活用予定です。
・マイナポイント事業
消費増税の景気対策第 2 弾として、 2020 年 9 月から 2021 年 3 月末までマイナポイント事業が行われます。 ( 申込みは 2020 年 7 月から )
これは、キャッシュレス決済のチャージや利用時に決済金額の 25%( 上限 ,000) をポイント還元する事業です。
事前にマイナンバーカードの取得とマイナポイント予約
(
マイキー
ID
の発行
)
が必要です。
・マイナンバーカードの保険証利用
2021 年 3 月 ( 予定 ) からマイナンバーカードが健康保険証として利用可能になります。
既存の健康保険証が使えなくなるわけではありませんが、マイナンバーカードと健康保険証の資格情報を紐づけし、カードリーダーで読み込む事によりオンラインで資格情報を確認する仕組みです。
2022 年度中には概ねすべての医療機関でマイナンバーカードによる資格確認を導入する予定になっています。
※外部サイト:厚生労働省 マイナンバーカードの保険証利用についてお知らせします
このように、マイナンバーカードの普及に向けて、今後も様々な施策が行われると思います。
マイナンバーカードがいろいろなシチュエーションで使えるようになった際の注意事項ですが、盗難や紛失などマイナンバーカード自体、あるいはマイナンバーが悪用される可能性がある場合は、マイナンバーを新たに発行することができます。
この場合、申請や受け取りは窓口に行く必要がありますが、それだけではなくマイナンバー自体が変更になりますので、これまでにマイナンバーを提示した先にも再提示が必要になる場合があります。このあたりが免許の紛失と違い面倒なところですので、くれぐれもマイナンバーカードを持ち歩く際は無くさないようにご注意ください。
このように、現状使い勝手がいいとは言えないマイナンバーカードですので、改良が待ち遠しい所です。
それでは、また次回をお待ちください。
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