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株式会社IDデータセンターマネジメント
上坂 明
さて、本日扱うテーマは、次世代移動通信システム(5G/6G)に関連する技術の一つ、
非地上系ネットワーク(NTN(Non-Terrestrial Network))について取り上げたいと思います。
5Gは「地方創成や地域課題解決」を大きな目標としていますが、6Gは「空・海・宇宙を含むあらゆる場所へのガバレッジ拡張」を目標に掲げており、地上だけではなく、海、空、宇宙空間など、あらゆる場所でのネットワーク利用を目標としています。
NTNとは地上に限らず、「海、空、宇宙」全ての通信プラットフォームを繋げ、宇宙空間や成層圏から通信ネットワークを提供することを目的としたソリューションとなります。そのため、6Gの実現手法として期待されています。
移動通信システムの現状
Aさんの携帯電話端末から発信された電波は、最寄りの無線基地局にて受信されます。受信された電波は信号に変換され、光ファイバーケーブル等のバックボーン回線(※1)を通り、交換局(データ通信設備 や音声交換設備を指します)へ渡されます。
交換局は目的地であるBさん最寄りの基地局に向けて信号を送信し、信号を受信した基地局は再び信号を電波に変換し、Bさんの携帯電話に届けます。これが携帯電話での電波の流です。
※1…図では有線ケーブルとありますが、無線・衛星回線を利用した接続形態もあります。
種類 | サイズ | カバー範囲 | 備考 |
---|---|---|---|
鉄塔型 | 20~50m | 大規模 | 主に郊外に設置される。カバー範囲は広い。 |
ビル設置型 | 2~3m |
中規模 | ビルやマンションの屋上に設置される。主に市街地エリアで利用される。 |
小型基地局 | 1m | 小規模 | 電柱などに設置される。 小規模なエリアをカバーする。 |
屋内基地局 | 1m以下 (30cm程度) |
小規模 (特定範囲) |
地下鉄や地下街、大型の高層フロアなどに設置。限られたエリアをカバーする。 |

基地局の問題
さらに設置数が多い分、地主やビル管理者に設置許可を得るまでに時間が掛かっているという点も問題です。
また、郊外に設置する大型の鉄塔タイプ基地局は大型である分、近隣住民の方から景観の問題や健康への影響懸念があるとして、設置反対運動が発生し、設置出来ないケースも存在します。
キャリア | 基地局設置数 | 2021年度目標 | 備考 |
---|---|---|---|
Docomo | 1万局 ※2021年6月末時点 |
2万局 | 4Gからの転向ではなくコアネットワークも5G仕様に変更した新規設置数。2021年度後半からは4G転向も本格化を想定。 |
KDDI ソフトバンク |
1万局 ※2021年3月末時点 |
5万局 | 共同出資会社「5G JAPAN」を設立。互いの基地局のリソースをシェア、および4G基地局を5G基地局に転向することにより、設置数加速。 |
楽天モバイル | 数局 | - | 4G人口カバー率の向上を2021年内に掲げて基地局設置中。 |
空飛ぶ基地局 HAPS
LEOはGEOと比較し低軌道なため、片道電波速度は数ミリ秒程度と低遅延ですが、地球を周回しているため、通信するためには多数の衛星をリンクさせる必要があります。
しかし、ソフトバンク社より2019年に航空機型の成層圏通信プラットフォームの事業化が発表され、2027年の商用化を目指し実証実験が進められています。
しかし、2021年9月にリリースされた情報ではこのような課題に対して、通信エリアを固定する「シリンダーアンテナ」の導入、およびアンテナの向きを固定する「回転コネクタの導入」といった「フットプリント固定」制御技術を導入し、通信の安定化に向けた取り組みが進められています。