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農作物の病害虫とIT技術~AIで農作物の健康を守る~

株式会社IDデータセンターマネジメント
テクニカルスペシャリスト 水谷 知彦  水谷写真_100x150 

IDデータセンターマネジメント所属テクニカルスペシャリスト水谷です。

最近、農作業で使うトラクターの盗難のニュースをよく見かけます。トラクターは一般車などと比較して盗難に遭うことを前提に製造されていないため、盗む対象となった場合、比較的容易に盗まれてしまうことが多いようです。また繁忙期などは、作業効率の観点から翌日からすぐに作業が行えるよう農地にトラクターが置きっぱなしになっていることも多いため、人目の少ない農地にトラクターが置かれている状況は、盗みを行う側からすると大変都合が良いようです。

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トラクターが盗難に遭った場合、トラクター自体の被害もさることながら、トラクターがあることを前提で進めていた農作業も滞るため、農家にとって大きな痛手となります。
最新のトラクターでは、GPSを標準で装備しているものや、稼働状況を遠隔で確認できるものなど盗難防止対策が進んでいますが、トラクターは新品の場合、数百万円から高いもので1千万円を超えるような高額の機械になるため、最新トラクターへの買い替えは農家で頻繁に行われていない状況です。盗難防止対策が十分でないトラクターが数多く現役で稼働しているため、盗難による被害はまだしばらく続くかもしれません。

さて、冒頭でネガティブな農業に関連するニュースに触れましたが、ここからは、未来に希望が持てるポジティブな農業関連のIT技術について、触れていきたいと思います。

新規就農者を悩ませる病害虫問題

農作物を育てる際に発生する病害虫について、どのようなものがあるか皆さんご存じでしょうか?
例えば、イチゴだと以下のようなものがあります。

  • うどんこ病(※イチゴに白いカビが付く病気)
  • 灰色かび病(※イチゴに灰色のカビが付く病気)
  • 根腐(ねぐされ)病(※根から腐敗が始まる病気)
  • 輪斑(りんはん)病(※葉に円形状の斑点ができ壊死する病気)
  • クルミネグサレセンチュウ(※主に根から被害を広げる虫)
  • ドウガネブイブイ(※主に根から被害を広げる虫)
  • イチゴハトゲアブラムシ(※主に葉から被害を広げる虫)
  • ハスモンヨトウ(※主に葉、蕾、花から被害を広げる虫)

この他にもまだまだありますが、イチゴに関するものだけでも数多くの病害虫が存在しています。
農業者は、このような病害虫に対して、こまめに観察を行い被害の拡大が始まる前に自身の知識や経験を活用して対処をしておりました。しかし、知識や経験が不足している農業者や、新規就農者は、病害虫に対して適切に対処ができず、生産量の減少、品質の低下などの被害を受けている状況でした。新規就農者の約3割が定着せず数年で離農している現在の状況は、病害虫により計画通りに収入を得ることができず、収入が安定しなかったことが原因の一つになっていると考えられます。

病害虫に対処するためのIT技術

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近年、このような問題に対処するため、知識や経験が不足している農業者や、新規就農者でも病害虫に対して適切に対処が行えるよう、AIを活用したITサービスが提供されています。このサービスは、スマホなどで撮影した内容から、AIが病害虫を判定して適切な対処方法が提示されるといったものになります。膨大な病害虫のデータからAIによる判断が行われているため、病害虫の判断精度は、7割から9割と大変高く十分実用に耐えうるとのとのことです。以前このコラムでも触れた農業データ連携基盤(通称:WAGRI)でもAIを活用した病害虫判定サービスが提供されております。

ただし、このAIによる病害虫判定サービスも万能ではなく、全ての病害虫が判定できるわけではありません。現時点では、主要な農作物や、病害虫が対象となっているため、全ての農業者がこのようなサービスを利用して、病害虫に対処できるようになるためには、もう少し時間が必要かもしれません。AIが判定を行うために利用するデータ(情報)は、日々蓄積されているため、利用できる範囲は継続的に拡大し、判定の精度も向上していくものと考えられます。

また、AIによる病害虫判定サービスですが、知識及び経験が不足している農業者だけでなく、大規模の農業法人でも活用が進められています。農地の規模拡大に伴い、農地の隅々まで観察する労力が足りない状況をこのサービスを活用して補う形になります。活用例としてドローンやロボットを利用して、自動的に撮影を行い、撮影したデータを自動で病害虫判定サービスに連携させて病害虫の発生状況を検知させるものや、人間は撮影だけに集中して、労力のかかる病害虫の判定はAIに任せてしまうといった方法などがあります。
AIに判断を任せてしまう場合、病害虫の判断を行う熟練者のノウハウが無くなってしまう怖さはありますが、労働力が不足している状況では、仕方がないのかもしれません。

今後は、病害虫の判定から、必要な農薬の購入、農薬の散布まで自動で行う仕組みなどが開発されているとのことですので、農業関連のIT技術は今後もますます目が離せないものとなっています。こちらのコラムでも、引き続き農業関連のIT技術に触れていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた、次のコラムでお会いしましょう。

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水谷 知彦

株式会社IDデータセンターマネジメント ICTサービス第4部 テクニカルスペシャリスト

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