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新たな視点からのビジネス変革 SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とその具体例

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株式会社IDデータセンターマネジメント
テクニカルスペシャリスト 水谷 知彦  水谷写真_100x150 

IDデータセンターマネジメント所属テクニカルスペシャリスト水谷です。
 
先日、娘の小学校の入学式で、校長先生が入学する新1年生に向かって「SDGsを知っている人はいますか?」と問いかけた際、多くの新1年生が手を上げていることに驚きました。小学校に入学する時点で自分たちが生活する環境、社会に興味を持つことが当たり前になる日が近いようです。また、休日に家族で買い物に出かけた際、電車の中で化石燃料に依存しない再生可能エネルギーのみで運行しているというアナウンスが流れており、身近な交通インフラがサステナブルな社会の実現に向けて、大きく変革が進んでいる状況をより具体的に認識できる機会がありました。最近、普段の生活の中で、SDGsを含めサステナブルな社会を実現するための情報に触れる機会が大幅に増えた様な気がします。

今回のコラムでは、サステナブルな社会の実現に向けて、様々な取り組みが行われている中、近年さらに関心が高まっている企業が行っている取り組みを見ていきたいと思います。
 
企業が持続可能性を重視し、企業の稼ぐ力とESG(環境・社会・ガバナンス)の両立を図るための変革(取り組み)をSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)と言います。近年ESGを配慮しない企業への投資を引き上げ、ESGに積極的に取り組む企業への投資を厚くする金融機関・投資家が増えている状況などから、継続的に企業活動を行う上でSXへの取り組みを行うことは必須と言えます。では具体的にSXへの取り組みはどの様なものがあるのでしょうか。

1.シグニファイのライト・アズ・ア・サービス 

オランダに本拠を置く照明機器開発メーカーのシグニファイは、主に電球や蛍光灯を販売して利益を得るビジネスモデルを採用していました。このビジネスモデルでは、環境負荷を考慮して製品の寿命を延ばしてしまうと、製品が売れなくなり、環境と利益がトレードオフの関係になってしまう状況でした。この課題を解決するため、シグニファイでは、環境と利益がトレードオンの関係になるビジネスモデルとして、ライト・アズ・ア・サービスを編み出しました。このライト・アズ・ア・サービスは、電球や蛍光灯などの照明機器をシグニファイが所有し、顧客は使用した分だけ料金を払う従量課金制のサービスとなります。このサービスでは、製品の寿命を延ばすことが交換・メンテナンスのコスト削減になるため、環境負荷を考慮することが利益につながります。
環境への配慮を単純なコストとせず、利益につなげる持続可能なサービスは、今後ビジネスモデルの主流になっていくと考えられます。

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2.ウェイスト・マネジメントのゴミ・廃棄物への取り組み

北米最大のゴミ収集・廃棄物処理企業、ウェイスト・マネジメントは、ゴミの削減、3R(リデュース・リユース・リサイクル)など環境への負荷を削減する動きが広がる中、この変化を自社ビジネスへの脅威としてとらえるのではなく、機会ととらえ、ゴミ・廃棄物から価値を作り出す改革を進めています。具体的な取り組みとして、廃棄物からエネルギーを取り出す施設の開発・運営や、リサイクル可能な材料を分別する施設の開発・運営などがあります。また、ゴミの排出削減に取り組む顧客に向けてのコンサルなど、自社が持つ既存事業の強みを生かした上で改革が進められています。
環境の変化を脅威ではなく機会ととらえる取り組みは、継続的に企業活動を行う上で大変重要であると考えられます。

3.トニーズチョコロンリーの強制労働に頼らない取り組み

オランダのチョコレート会社、トニーズチョコロンリーは、100%強制労働に頼らないチョコレートの提供をミッションに2005年に設立されました。西アフリカのカカオ農場では、現在も強制労働や児童労働が行われています。SDGsの目標にもある不平等、貧困の解決は、サステナブルな社会を実現する上で重要な課題であり、労働力を一方的に搾取する仕組みは無くす必要があります。トニーズチョコロンリーでは、強制労働、児童労働で生産された原料を使用しておらず、生産農家が一方的に不利な価格で取引されないようフェアトレードの仕組みを利用しています。トニーズチョコロンリーのチョコレートは、消費者からの共感と指示を得てオランダでは売り上げNo1となっており、現在は日本でも販売されています。
社会の持続可能性も考慮して企業活動を行うことが、優良な顧客を確保する上で大変重要であると考えられます。
 
この様なSXの取り組みは、サステナブルな社会の実現に向けて、世の中の関心が年々高まっていることからも、今後も加速度的に増えていくと考えられます。
 
次回以降のコラムでは、SDGsで提示されている目標を踏まえて、弊社で行っている取り組みを具体的に紹介できればと考えております。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた、次のコラムでお会いしましょう。 

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水谷 知彦

株式会社IDデータセンターマネジメント テクニカルスペシャリスト

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