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Beyond 5Gに対する期待

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ICTサービス第5部
テクニカルスペシャリスト 千葉 由紀祐   千葉さん顔写真_184x297

こんにちは、テクニカルスペシャリストの千葉です。
 
8月に入り、コロナ禍で迎える夏も3回目となりました。新規感染者数は依然高い水準で推移していますが、政府は社会経済活動をできる限り維持しながら、効果が高いと見込まれる対策を機動的・重点的に取り組む方針であり、行動制限をしないコロナとの共存(Withコロナ)が本格的に始まったと言えます。
 
各企業においても、社員の安心安全の確保や社内クラスター発生防止のため、テレワークやWeb会議などのICTの活用が広く定着しました。今後もWithコロナへの対応として、業務のオンライン化など、更なるICTの活用が進むものと思います。
 
先月、総務省が今年度の「情報通信白書(※外部リンク)」を公開しました。刊行から50周年という事で、白書の序盤では刊行した1973年から現在に至るまでのICTの変遷が書かれており、国内外の状況変化とともにICTを活用したサービスの高度化・多様化を振り返る事ができます。

過去50年間の情報通信分野
引用:総務省「令和4年版情報通信白書(※外部リンク)」P6
あらためて見ると、各時代で社会経済に浸透したサービスが、次のサービスに置き換わる進化の早さに驚きます。加えて、ICTが日常生活や社会経済活動に与える影響が徐々に大きくなり、便利にするものから欠かせないものに変化しています。
 
今回は、次世代のICTインフラとして導入検討が進められている「Beyond 5G」について取り上げたいと思います。

Beyond 5Gとは

Beyond 5Gとは言葉の通り、5Gの次のICTインフラ(いわゆる6G)であり、総務省が令和2年6月に「Beyond 5G 推進戦略(※外部リンク)」を策定し、2030年以降の導入に向けて推進しているものです。
 
5Gは、今までの通信インフラ、生活インフラを超えて社会インフラを支えるICTインフラとして現在進行形で導入・整備が進められていますが、Beyond 5Gは政府が目指す「Society 5.0」※を実現するための機能を実装したICTインフラとして期待されています。
活躍し続ける為の新しいスキル習得の必要性の認識
引用:総務省「Beyond 5G 推進戦略(※外部リンク)」P4
※…サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)
(内閣府HP(※外部リンク)より)。

Beyond 5Gに求められる機能

5Gにおける特徴的な機能として「高速・大容量」、「低遅延」、「多数同時接続」の3機能が挙げられますが、Beyond 5Gでは、3機能を「高速・大容量」、「低遅延」、「多数同時接続」と高度化し、更に「自律性」、「拡張性」、「超安全・信頼性」、「超低消費電力」の4機能を追加した計7機能を実装するとされています。
Beyond 5G
引用:総務省「Beyond 5G 推進戦略(※外部リンク)」P7
3機能については、CPS(サイバー空間とフィジカル空間の一体化)において、あらゆるものからデータを収集し瞬時に処理する事になるため、5Gとの比較で通信速度10倍、1/10の低遅延、同時接続数10倍の機能が求められています。
 
4機能の内容も上図内に記載はありますが、特にデータ量増加=消費電力増加への対応としての超低消費電力は、カーボンニュートラル実現に不可欠です。

Beyond 5Gの推進戦略

これらの機能を持つICTインフラを実現するために、Beyond 5G推進戦略では、”グローバル・ファースト”、”イノベーションを生むエコシステムの構築”、”リソースの集中投入”を基本方針とした上で、「研究開発戦略」、「知財・標準化戦略」、「展開戦略」の3つの戦略で進めるとしています。
Beyond 5G 推進戦略の全体像引用:総務省「Beyond 5G 推進戦略(概要)(※外部リンク)」P3
これら基本方針、戦略により、日本の強みを活かしたグローバルな連携・協働を通じて、先進各国における日本の存在感を高め、“Beyond 5Gの早期かつ円滑な導入”と“Beyond 5Gにおける国際競争力強化”の2つの目的達成を目指すと考えられます。
 
各戦略に関しては、戦略推進するために2020年12月に設置された「Beyond 5G推進コンソーシアム」において、将来ビジョンの具体化や海外への発信・連携強化などが行われており、今年3月にホワイトペーパー1.0版(※外部リンク)が公開されています。また、総務省所管の国立研究開発法人である情報通信研究機構(NIST)や、各企業などからもホワイトペーパーが公開されており、多角度から戦略イメージを掴む事ができます。

では、Beyond 5GというICTインフラが、私達の生活や社会インフラにどのような変革をもたらす可能性があるのでしょうか。

Beyond 5Gがもたらすインパクト

総務省が情報通信審議会に対して“Beyond 5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方”について諮問した中間答申(※外部リンク)が今年6月30日に公開されており、その中で、各産業におけるBeyond 5GのICTインフラに期待されるユースケースが整理されています。
Beyond 5Gのユースケース(概要)
引用:情報通信審議会「Beyond 5G に向けた情報通信技術戦略の在り方 中間答申(※外部リンク)」P19
多くの産業分野で、様々なユースケースからサービス開発・サービス化が行われると、社会インフラが大きく変わり、私達の生活に強いインパクトを与える事は、想像に難くありません。
 
また、変化の激しい時代といわれる現代において、その変化が加速することも確実であり、企業組織・個人ともにアジリティ(機敏性)を更に高めていかなくてはなりません。
 
公開資料では上図の内容にもユースケースが挙げられています。どのようなサービスが生まれ、生活・社会インフラへのインパクトが発生するか非常に興味深いところです。

まとめ

冒頭で述べたとおり、ICTの進化は、時代の中で発生する社会的・経済的な課題に対応する新たな価値・サービスの創出に寄与し、私達の生活や仕事を大きく変えてきました。
 
本文で述べたとおり、Beyond 5Gは、今まで困難と考えていた課題の解決を可能にするICTインフラとして大いに期待できると共に、私達サービス提供事象者にとっては、新しい価値・サービスを創出できる最大の機会となり得ます。
 
進化に対応し機会を活かすには、情報収集と取捨選択、そして過去からの流れを理解した上での将来予測や空想をする事が大事だと、私は考えています。
 
次世代ICTインフラを基盤としたサービス提供を自分達の手で行っていける未来がすぐそこに迫っていることに私自身、わくわくしています。
 
本コラムが、将来に向けた議論を行うきっかけになれば幸いです。
 
では、また次回コラムでお会いしましょう。

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千葉 由紀祐

株式会社IDデータセンターマネジメント テクニカルスペシャリスト

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