
IDアメリカ
ハムザ・アフメッド

2021年にビットコインが新記録を打ち立てたのを覚えていますか?1ビットコインが5万ドルというマイルストーンを破り、2ヶ月足らずで6万5千ドルに達したのです。イーサリアム、FTX、Binanceを含む、さまざまな暗号通貨でも上昇は見られ、投資する人は日々増えていきました。アートと結びついたデジタルトークンであるNFTは、同じ年にモネが描いた現実のアートに支払われた価格(4000万円)を上回る7000万円で売られ、Facebookは社名をMetaに変更し、メタバースを推進することを発表したばかりで、この動きは投資家に賞賛されていました。
暗号通貨の広告は、テレビ、バス停、さらにはフォーチュンクッキーの中と、いたるところにあり、クリプトマーケティングに数千万ドルを費やし、スーパーボウルをCMで埋め尽くしました。パリス・ヒルトンはステージで参加者全員にNFTを配り、アメフトプレイヤーのトム・ブレイディは今では崩壊してしまったFTXを宣伝し、女優のキム・カーダシアンはEmaxトークンを宣伝していました。
人々の関心は急上昇し、イーサリアムを採掘するためにファームを建設する暗号マイナーの影響もあり、世界的にグラフィックカードが不足し、多くのアーティストが、デジタルアートにNFTを付け始めました。急速にお金持ちになる人が増え、Web3への期待は非合理的なまでに膨れ上がりました。誰もがWeb3がメインストリームに移行すると思っていたのです。
しかし、そうはなりませんでした。クリプトとNFTの価格は暴落し、FTXは廃業して、Metaはピーク時の3分の1の規模になったのです。今回は、その崩壊の理由と、米国におけるWeb3の現状について説明します。
Web3バブル崩壊
金利の上昇
2022年初頭、ドルはインフレ率の上昇を経験し始めていました。インフレの原因は次のようなものです:- 対ロシア制裁により世界的な原油不足が発生し、エネルギー価格が上昇した
- アメリカでは地域によってはガソリン価格が1ガロン7ドル以上になった (それまでは4ドル程度)
- ガソリン価格は、輸送コストの高騰に直結し、果物からコンピューターまであらゆるものが値上がりしていった
- パンデミックの余波
- アメリカ政府は、パンデミック時に支援を必要とする企業や個人に手当てを支給していた
- それは、より多くのドルが流通することを意味し、インフレを促進する
- パンデミックの余波消費者の需要が高く、供給が少ないため、製品の価格が上昇した

インフレを抑制するため、アメリカ政府は金利の引き上げを開始しました。金利を上げれば、理論的には消費者の需要が低下し、商品の価格が下がり、インフレが抑制されることが予測できます。しかし、それは同時に、返済すべき金利が高くなることを意味するため、投資家がリスクの高いベンチャー企業への投資を控えるようになります。多くの投資家や企業が暗号通貨を売却し始め、暗号通貨の価値が下がり始めると、他の投資家も資金を取り戻そうと暗号通貨を売却することに躍起になりました。その結果、ほとんどの暗号通貨がその価値の90%以上を失うまで、制御不能なスパイラルに陥りました。暗号通貨が価値を失うと、NFTや暗号に関連するWeb3のスタートアップ企業も価値を失うのです。
それまで暗号通貨は、インフレに強い通貨として宣伝されていたのですが、これが暗号通貨を安全な投資対象として見ていた多くの人々の信頼を失うことにつながってしまいました。
FTXの崩壊
FTXは世間から、成功したWeb3企業として、多くのWeb3スタートアップのロールモデルとして見られていました。評価額は320億円で、FTXのプラットフォームを公然と支持する著名人を含む多くのサポーターがいました。しかし、2022年末頃、Binance社がトークンを大規模に売り払った後、FTXは破産を申請しました。調査の結果、FTXは詐欺的な行為、悪い経営、配布していたトークンの裏付けとなる資産がないことを実施していたことが明らかになりました。Sam Bankman-Friedは逮捕され、現在係争中です。
FTXの没落は、いくつかの影響を及ぼしました。人気のあった暗号融資プラットフォームの1つであるBlockFiは破産を宣言し、別のタイプのブロックチェーンであるSolanaは価値を失い、ビットコイン価格も下落しました。しかし、最も深刻なダメージを与えたのは、Web3への信頼でした。 FTXの没落は、経営や不正行為に起因するものでしたが、メディアや人々は、Web3の失敗を技術そのものに起因すると考え始め、信頼がさらに失われました。デジタルアセットの売り場を提供する会社、Wintermute のCEO、Evgeny Gaevoyは、FTXの破綻によって、業界は少なくとも1年は後退したと述べていました。
Metaの苦戦

以前はFacebookとして知られていたMetaは、2019年に独自の暗号通貨であるLibraをリリースして以来、Web3空間に注力してきました。Libraは1年以内に失敗してしまいましたが、2021年に社名をFacebookからMetaに変更し、メタバースへの注力を示すことを発表しました。この動きは、Metaが会社を成長させるためにイニシアチブを取っていると見た投資家から賞賛されました。Metaは200億ドル以上を投資し、最も売れたVRヘッドセットのQuest 2も開発しました。
しかし、Quest 2の成功にもかかわらず、Metaはコストを相殺するほどの利益を生み出すことができていません。2022年末にはMetaのシェアも前年比で70%近く下がり、11月に約11,000人、2023年3月にはさらに10,000人の従業員の解雇を余儀なくされています。一般的にメタバース自体もまだ具体化しておらず、近い将来Metaからリリースされる気配もありません。
すでに、メタバースは参入しにくい業界だという意見が多く出ていますが、Metaの苦戦は、その意見に確証を与えています。それでもMeta自身はまだ楽観視しており、次世代VRヘッドセットのリリースを計画しているとのことです。
現在のWeb3状況
DeFiの必要性
2022年に中央集権的な取引所がいくつか破綻したことで、多くの投資家がDeFiの選択肢にも目を向けるようになりました。先日、SVBが破産申請したことにより、透明性の高い分散型金融の必要性がますます高まっていくのかもしれません。
ユーティリティとしてのNFT

- ブロックチェーンへの書き込みが容易でないため、偽チケットを簡単に無視することができる。
- チケット転売はルールでコントロールできる。
- 譲渡可能にすることができる
- 再販された際に、その利益の一部がプラットフォームに分配されるようにすることも可能
- 転売市場の動きを見ることができる
- すべての取引が追跡されるため、チケット販売業者は傾向をつかむことができる
- データは、ユーザーエクスペリエンスを向上させるために使用することができる
メタバースへの関心
Web3とAI

2022年末から、ChatGPTを筆頭に、技術系ではAIが注目を浴びていますが、AIはWeb3のインフラの使い勝手を大きく向上させることもできます。Web3は人が介在しなくても機能するという特徴があるため、AIを活用することで、現在の機能を拡張することができるかもしれません。