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テクニカルスペシャリスト 黒住 好忠
こんにちは。テクニカルスペシャリストの黒住です。
現代社会においては、データが非常に重要な役割を果たしています。企業活動の意思決定や証跡としての記録など、あらゆる場面でデータが利用されています。そのため、「データを安全に保管し、改ざんを防止」することが重要になるのですが、「意図的なデータの改ざん」などが数多く報告され、ニュースで取り上げられることも多くなっています。
そこで、今回は「データ改ざんなどにも対処できる、新しいデータ管理」についてご紹介します。
現在のデータ管理の課題
現在のデータ管理は、主にデータベースというシステムを利用して行われています。しかし、広く利用されているデータベースには「データの改ざんに弱い」という課題があります。
データベースは、「データを入れておく入れ物」のようなイメージです。データを集中管理することが主な目的であり、データの書き換えが簡単に行えるようになっています。そのため「データの改ざん」については考慮されていない部分が多く「データの改ざんに気づけない」というケースが出てきます。つまり、データは非常に重要な資産であるにもかかわらず、「そのデータは本当に正しいのか」という部分の証明が非常に困難になります。
また、データベースの操作は専用のアプリケーションを介して行われるケースが多く、このアプリケーションが書き換えられた場合にも、データの正しさを保証することは困難になります。
新しいデータ管理の世界
上記のような背景もあり、これからのデータ管理は「改ざんへの耐性」が求められるようになりつつあります。そこで、弊社が提供する「新しいデータ管理」の世界について紹介します。
簡単に言うと、従来のデータベースに「データベースの改ざんを検知して、データの正しさを証明できる」機能が追加されるイメージになります。しかも、今まで利用していたデータベース(※1)を「そのまま利用できる」メリットもあります。
※1:厳密には、主要なRDBMSとNonSQLのデータベースに対応しています。
また、データを操作するアプリケーションも、コントラクトという「アプリケーション自体が書き換えられていないかを厳密に管理できる」仕組みを利用して、「アプリケーションとデータ両方の正しさを証明」できるようになります。
データ改ざん検知
新しいデータ管理の仕組みを利用すれば、「データの改ざんを即時に検知」できます。
上記は、工場などのセンサーから収集した値が改ざんされた場合の検知例となります。図の右下で赤く表示されているように、データの改ざんを瞬時に検知できます。また、これまでの変更履歴も全て記録されているため、データが「いつ、どのように」書き換えられたか、厳密にトラッキングできます。
なお、データの改ざん検知は「ブロックチェーン」を使っても実現できますが、ブロックチェーンにはパフォーマンスの課題があり、「企業システムでの利用には適さない」ケースがあります。そこで私たちは、企業システムでの活用を想定し、ブロックチェーンでは実現困難だった「改ざん耐性とスケーラビリティを両立」を実現しています。
新しいデータ管理で得られるメリット
新しいデータ管理により、以下のメリットが得られるようになります。
特に、これまでのデータ管理手法では困難であった「データの正しさを証明」できるメリットが大きく、従来は実現できなかった領域での活用も可能になります。
例えばカーボンニュートラルに関する業務など、温室効果ガス(GHG)排出量の検証業務では「組織のGHGの情報、データおよび記録が、完全かつ利用可能であることを確実にする」という内容が含まれている(※2)のですが、このような領域においても、新しいデータ管理の仕組みを利用することでスマートに実現出来るようになります。
※2:GHG排出量の検証業務 - JIS Q 14064-1
更なる情報
本コラムでは、「改ざん検知とデータの真正性の担保」にフォーカスしてご紹介したのですが、他にも「新しいデータ管理」で得られるメリットが多くあります。
今後のシステムは「マイクロサービス」を組み合わせた方向に進んでいくと思われますが、マイクロサービス化にあたっては、それぞれのサービス間でのデータの管理(整合性の担保など)が課題になります。従来であれば、サービス間のデータ整合性を担保するために、複雑な仕組みを独自に作り込む必要があったのですが、このような部分も「新しいデータ管理」手法で解決できます。
以下のURLから、本コラムでは紹介しきれなかった詳細な情報や、工場等での「センサーデータの収集から活用までの事例」などの資料を公開しておりますので、ぜひご覧いただければと思います。
https://www.idnet.co.jp/cms/site2/Japan-IT-Week_ID_Presentation_v1.pdf
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう。
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- IRニュース:株式会社Scalarへの出資のお知らせ
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