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デジタル時代の自律的な学びに必要なポイントと”楽しさ”とは

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株式会社IDデータセンターマネジメント
ICTサービス第6部
テクニカルスペシャリスト 千葉 由紀祐顔写真

こんにちは、テクニカルスペシャリストの千葉です。
 
本コラムを閲覧頂いている人は、新技術の情報取集や習得に日々取り組まれている方が多いのではないでしょうか。
 
今年、NPO法人 金融IT協会が、金融業界横断でのIT利活用、デジタル人材育成をミッションとした対外活動を開始するとのプレスリリースを発表しました。
 
同協会は、金融機関やIT企業、関連団体が参加し、金融におけるITの民主化、デジタル人材育成に取り組んでおり、今秋には金融分野のIT開発、利活用に必要な知識を問う金融IT検定試験を実施するとの事です。
 
金融ITに特化している点で、金融系システムの業務に携わる方にとっては興味深く、私も金融系システムに長く携わってきましたので、金融機関、IT企業の相互作用で業界のIT・デジタル活用の更なる推進の1つのきっかけになる事を期待しています。
 
高い品質が求められる金融系システムにおいて、経済産業省のDXレポートの「2025年の崖」を克服するためのレガシーシステム刷新、新たなデジタル技術活用を推進できるDX人材の確保・育成は必須事項であり、システムに携わる1人1人がスキルアップ・スキル変革に取り組み続ける必要があります。
 
また、情報処理推進機構(IPA)が先月、2023年度のデジタル時代のスキル変革等に関する調査
事例企業における自律的な学び促進の取組み」を公開しました。デジタル時代における企業や人材のスキル変革等に関する調査として毎年公開されており、変化の激しい現代に対応するために企業・個人が取り組むべき方向性の検討の際に参考にされている方は多いと思います。
 
2023年度の調査では、前回までの調査結果を踏まえて、「個人の自律的な学び」にフォーカスして、複数企業における学び促進の施策や実施上の課題の具体例などが纏められています。
 
今回は、企業側の取り組みを見た上で、個人の自律的な学びに必要なポイントについて述べていきたいと思います。

なぜ、自律的な学びが必要なのか

2022年度までの調査によって、デジタル時代に対応するために個人と企業が共に成長し続けるためには、企業・組織が活躍する場を作り、個人は自律的に学び続けることで、ラーニングカルチャー(学びが習慣化された思考・行動様式)を醸成する施策が必要となっています。

スキル変革調査の実施経緯
引用:IPA 「スキル変革調査の実施経緯

デジタル時代のスキル変革等に関する調査レポート(2022年度)
引用:IPA 「デジタル時代のスキル変革に関する調査(2022年度)報告書 一枚図

企業の取り組み:自社のビジョン・DX戦略にあった形でキャリア形成が進む様、環境面の整備(学びの場や実践の機会の提供、適正な評価など)を進める。
 
個人の取り組み:今までの企業に依存したキャリア形成から、自分自身のキャリアビジョンから価値を高め、競争力を身に付ける自律的なキャリア形成を行う。
 
双方の取り組みによってラーニングカルチャーが醸成され、社員一人当たりの生産性が向上し、デジタル時代においての企業の成長につながるものです。

企業側の取り組みの実態

企業側の取り組みの実態を、2023年度のIPAデジタル時代のスキル変革等に関する調査
事例企業における自律的な学び促進の取組み」から見ていきたいと思います。

企業全体にラーニングカルチャーを植え付けるための取組みや、企業のビジョン・DX戦略と個人のキャリアビジョンをすり合わせの取組みなど施策は様々ですが、今次調査では調査協力された14の企業へのインタビュー結果から以下の10の施策が挙げられています。

2023年度「デジタル時代のスキル変革等に関する調査」で挙げられている10の施策引用:IPA デジタル時代のスキル変革等に関する調査「事例企業における自律的な学び促進の取組み

上の表は、個人の自律的な学びのための“環境・土台作り”、“学びの自分事化”、“学び・実践サイクルの確立”の施策で整理されています。
 
各企業の調査結果を見ると、施策の組み合わせは企業によって異なり、全ての施策を実施している企業はありません。また、一番取り組んでいる施策が多い企業は9施策、少ない企業は5施策と様々です。企業の業種・事業内容・風土やラーニングカルチャーの醸成状況などにあわせて取り入れていることが推察されます。
 
取り組みが多い施策としては、(b)『学びの推進「組織」の立ち上げ』が一番多く、続いて(a)『DX・学び「ビジョン」・戦略の発信』、(g)『学び「価値観」浸透』、(i)『「社内外ネットワーク」で情報交換』となっています。意識改革として危機感醸成の土台作りと、継続した学びのサイクル化のための環境整備から取り組んでいると言えます。
 
意外に感じたのは、(f)『「キャリア開発」で学びの目的化』の取り組みが上位でない点です。目的化があって各施策が活きていく事を考えると上位にあるものと考えますが、これは、前提としてマネジメント層の理解向上が必要であり、(e)『「マネジメント力」の強化』の施策など、他施策との兼ね合いで効果が得られるからと思料します。
 
このような企業側の取り組み(環境・土台作り、自分事化、学び・実践のサイクル化)に対して、個人がどのように対応・行動すべきか、自律的な学びに必要なポイントを述べていきたいと思います。

個人の自律的な学びに必要なポイント

私が考えるポイントと取り組むための考え方は以下の通りです。

  1. 自身のための学びの方向性・目標を定める
    • 企業のビジョン・戦略を確認し、自身のキャリアビジョンとマッチする業務に携わるために行動する。
    • 自分のスキルを客観視し、強みを伸ばす、弱みを克服するための学習を行う。
    • 目標・理想とする人物像に近づくための行動計画を立てる。

  2. 積極的な業務・実践での活用
    • 学んだ知識の積極的に活用するため、上席・上司と業務利用の実現に向けた会話を重ねる。
    • 現業務の課題解決や生産性向上を目的とした活用を実践する。
    • 業務利用の機会を得るまでは業務外活用で知識の深化、スキル向上を図る。

  3. 実績・成果、評価の共有とアピール
    • 取組んで挙げた実績・成果を周りと共有し、理解者・仲間を増やす。
    • 実績・成果に対して正当な評価を得られる様、しっかりアピールし、次の行動のモチベーションとする。
    • 次の行動は、今回よりも少しでも高い実績・成果に繋がるものを定める。

これらの取り組みを継続的に行うことで習慣化され、その結果として、個人と企業が成長し続けるためのラーニングカルチャーの醸成につながると考えます。

まとめ

デジタル時代における理想的な企業と個人のあり方は「企業・組織が活躍する場を作る。個人は自律的に学び続ける。」と言えます。
 
個人の自律的な学びに一番必要なのは、“楽しさを見つける事”だと思います。
 
目標を立てる“楽しさ”、学んだ技術を実践する“楽しさ”、成果・実績を共有する”楽しさ"、正当な評価を得る“楽しさ”など、これらの楽しみを積み上げていく事で、学びが習慣化され、変化の激しいデジタル時代に対応できる力を身に付ける事ができます。
 
また、学びの初期段階で“楽しさ”を見つけられない方は、何で学びが必要なのか徹底的に掘り下げると、必要性の本質に気づき、目的が明確になります。最初は目の前の「やるべき事」、「やらなければいけない事」から掘り下げていく事も有効です。目的が明確になるとやりたい事が見つかり、“楽しさ”も見つけられる様になります。自発的な行動が大事です。
 
一度に全部を取り組む必要はありません。1つ1つ“楽しさ”を積み上げていく考え方を是非取り入れてみてください。
 
では、また次回コラムでお会いしましょう。



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千葉 由紀祐

株式会社IDデータセンターマネジメント テクニカルスペシャリスト

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