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【ナレッジコラム】パブリッククラウドとは?プライベートクラウドとの違いから意識すべきセキュリティまで解説

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ICTの活用がビジネスシーンにも広がり、企業でのクラウド活用も一般的になりました。そんな中よく耳にするようになったのが「パブリッククラウド」です。そこで本コラムでは、そもそもパブリッククラウドとは何なのか、またプライベートクラウドとの違いを確認しながら、パブリッククラウドのセキュリティについても解説します。

パブリッククラウドとは

パブリッククラウドとは、複数の個人や企業が同じインフラのリソースを共有して利用するクラウドサービスのことです。もちろん、各ユーザー同士がお互いのシステムやデータを触れるわけではなく、クラウドサービスに必要なネットワークや物理サーバーといった機器のリソースを共有することを意味しています。

例えばIaaSならば、ネットワークや物理サーバーまでは同じものを利用しますが、サーバー上で提供されている仮想化ソフトウェア(ハイパーバイザー)の中を利用者ごとに分けて使います。

住居に例えると、複数世帯の入る賃貸マンションをイメージすると分かりやすいでしょう。同じ土地に建っているマンション内で、賃貸契約者が各部屋をプライベート空間として住むイメージです。この場合、土地がパブリッククラウドのデータセンターなどの場所、マンションが物理的サーバー、各部屋へ続く廊下がネットワークで、各部屋が仮想サーバーです。

各ユーザーが借りている仮想サーバーは、部屋の鍵のようにアクセス権限がそれぞれに与えられるため、同じパブリッククラウドを利用するユーザー同士が干渉することはありません。

パブリッククラウドとプライベートクラウドの違い

パブリッククラウドと比較されやすいのがプライベートクラウドです。

パブリッククラウドは多くのユーザーがリソースを共有するのに対し、プライベートクラウドは、リソースを他のユーザーと共有することはなく、自社専用のクラウドリソースとして独占して利用できます。パブリッククラウドが賃貸マンションならば、プライベートクラウドは一軒家というイメージです。

例えば、A社が契約したプライベートクラウドは、物理的サーバーからアプリケーションまでをすべて独占して利用できます。

プライベートクラウドは2種類に分けられる

ここまで「プライベートクラウド」を一括に表現してきましたが、プライベートクラウドは大きく2種類に分けられます。

一つは、クラウドサービス上で提供されているプライベートクラウドを利用するホスティング型プライベートクラウド。もう一つが、自社内のスペースやデータセンターを借りて物理サーバーなどのインフラを管理するオンプレミス型プライベートクラウドです。両者は以下のように区別できます。

  • ホスティング型プライベートクラウド:物理的資産を所有しない利用型のプライベートクラウド
  • オンプレミス型プライベートクラウド:自社でネットワークやサーバーといった資産を有する所有型のプライベートクラウド

DXが推進される近年では、運用・管理コストを抑えるために、オンプレミス型プライベートクラウドからホスティング型プライベートクラウド(あるいはパブリッククラウド)への移行も増えています。

パブリッククラウドサービスを利用するメリット

それでは、パブリッククラウドの利用にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、オンプレミス型プライベートクラウドと比較した場合のメリットを紹介します。両者の大きな違いは、物理サーバーなどの設備インフラやリソース管理をだれが負担するかという点です。

物理サーバーや運用コストが削減できる

パブリッククラウドを利用することで、物理サーバーの設置やネットワーク回線などの運用コストを削減できます。

オンプレミス型プライベートクラウドでは、データセンターを借りて物理サーバーを設置し、LANケーブルの配線などまで自社で負担しなければなりません。しかし、パブリッククラウドでは、物理サーバーから仮想化レイヤまでを提供ベンダーが管理しますので、機器の設置や故障対応といった運用が必要ありません。つまり、ハードウェアに対する投資(人件費含む)をかける必要がないということです。

導入スピードが速い

パブリッククラウドは、提供ベンダーが仮想化レイヤまでを用意していますので、クラウドの導入スピードが早いこともメリットです。
例えば、これから自社のシステムをクラウドへ移行する場合を考えてみましょう。オンプレミス型プライベートクラウドへシステムを構築するならば、サーバー設計やネットワーク設計を経て、物理サーバーの購入やネットワーク配線を行い、OSインストールと設定、ミドルウェアのインストールと設定、アプリケーションの開発から運用までをすべて自社で担わなければなりません。

しかし、パブリッククラウドを利用することで、物理サーバー設置やネットワーク周りの構築などを省くことができますので、クラウドの導入スピードが格段に速くなるのです。

リソースをスケーリングしやすい

パブリッククラウドを利用すれば、リソースをスケーリングしやすくなります。

例えば、オンプレミス型プライベートクラウドで開発サーバーを増設したい場合には、物理サーバーやネットワーク回線を自社で整備しなければなりません。しかし、パブリッククラウドならば、Web上のオペレーションだけでサーバー環境を増やしたり、使わなくなった環境を廃止したりと簡単にスケーリング可能です。

パブリッククラウドのセキュリティ

それでは、パブリッククラウドのセキュリティ面を見ていきましょう。

パブリッククラウドを利用する場合、セキュリティはクラウドサービス提供事業者に任せることができます。そのため、オンプレミスと比べてセキュリティ対策の管理工数も大幅に削減可能です。その反面、パブリッククラウドのセキュリティはベンダーのポリシーに依存する部分が大きいため、セキュリティのすべてを自社で管理することはできません。

また、クラウドサービス提供事業者が管理する範囲は、利用するパブリッククラウドのサービスによって異なります。代表的なものには「IaaS」「PaaS」「SaaS」があり、それぞれ管理範囲が違います。

例えばパブリッククラウドであるIaaSならば、クラウドサービス提供事業者が管理するセキュリティ範囲は、ネットワークやサーバーなどの基本的な物理的インフラに限定されます。アプリケーションだけを提供するクラウドネイティブのSaaSならば、物理的インフラからアプリケーションに至るまでのセキュリティがクラウドサービス提供者側の管理範囲となるのです。

パブリッククラウドはDXへの取り組みも効率的

近年急速に進むDXへの取り組みでは、さまざまな企業が基幹システムや自社サービスのインフラを、オンプレミス型プライベートクラウドからパブリッククラウドなどへ移行する動きも高まっています。

業務プロセスなどにおいてデータ化とデジタル技術導入を図る上では、一からオンプレミス型プライベートクラウドとしてシステムを構築するよりも、導入スピードが速く管理コストが抑えられるパブリッククラウドをはじめとしたクラウドサービスの利用が効率的です。

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まとめ

パブリッククラウドを利用すれば、DXへの取り組みも効率的です。物理サーバーの構築や運用もベンダーに任せられるので、コスト削減にもつながります。すでに用意されたインフラへシステムを構築できるので、クラウドの導入もスピーディーに行えます。また、リソースのスケーリングについても比較的容易に行えるため、管理者の負担も大幅に軽減できるはずです。これからDXに取り組む企業は、パブリッククラウドの利用も視野に検討してみましょう。

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