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【ナレッジコラム】ローコード開発とは?従来の開発手法との違いやメリットについて解説

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近年、急速なデジタル技術の進歩やDXの推進、感染症対策などによるオンライン化の波が押しよせ、IT関連の人材不足が深刻化しています。そんななか、「ローコード開発」というシステムやアプリの開発手法が注目を浴びるようになりました。ローコード開発とは何か、従来の開発手法との違いやメリットについて解説します。

ローコード開発とは

プログラミングにおけるコード(HTML、Javaなど)をほとんど書くことなく、システムやアプリを開発できる手法のことをローコード開発といいます。開発とは本来、コードを書いていくコーティングによって進めていくものです。しかしローコード開発では、あらかじめ用意された機能パーツがアイコンやボタンなどで表示されており、それをマウスで操作するGUIを活用します。ほとんどの操作を画面上で視覚的・直感的に行えるため、高度なプログラミングやコードに関する知識、技術がなくても扱える開発手法です。

なお、ローコードは「最低限のコーティングで開発できる」ことであり、まったくコードを書かないわけではありません。コードをまったく書くことがない開発手法は「ノーコード」と呼ばれます。

ローコードやノーコードを実現できるのは、開発済みのソフトウェアの機能の一部が微調整可能な部品として提供されているためです。ローコード開発ツールでは、こうした部品を調整する機能を使い、カスタマイズしてシステムやアプリを開発します。

近年では、AI分野でもローコード開発ツールが扱えるようになり、ますますローコード開発が身近なものになっています。詳しくは「話題のローコード/ノーコードでAI開発がどこまで可能か」をご覧ください。

ローコード開発と従来の開発手法との違い

ローコード開発と従来の開発手法との違いについて解説します。

設計の違い

従来の開発手法では、クライアント(ユーザー)に詳細なヒアリングを行い、クライアントが求める要件を満たす構成要素を検討しなくてはなりません。一方、ローコード開発では、これらの構成要素はあらかじめ提供されるシステムによって決まっているため、機能パーツをどう生かすかを考えるだけでよいのです。

ゼロからつくり上げる必要がないため、ITの専門知識がないクライアントでも、設計から主体的にかかわりやすい点も、ローコード開発の大きな特徴といえます。

開発・インフラ構築の工数の違い

従来の開発手法でもっとも時間がかかるのが、プログラミング言語によってコードを作成するコーディングです。開発する機能が複雑であればあるほど工数がかかるため、当然開発日数もプログラミングの知識も必要です。また、開発したらそれで終わりではなく、コーディングしたシステムが正常に機能するかどうかテストする作業も行わなくてはなりません。

一方、ローコード開発では、GUIの操作(パーツのドラッグ&ドロップ)と多少のコーディングで操作が完結可能です。機能として提供されるパーツはすでにテストが完了したものであるため、実装後のバグ発生の可能性もほとんどないとされます。そのため、テスト作業も極めて簡単です。

また、従来の開発手法ではインフラ環境の構築も同時に行う必要がありますが、ローコード開発ではその必要はありません。ローコード開発では、開発ツールが稼働するインフラ環境のなかでシステムも稼働するからです。そのため、開発するシステムやアプリのデータ量や負荷などを考慮せずとも開発が行えます。

ローコード開発 4つのメリット

次の4つがメリットとして挙げられます。

  1. 設計・開発工数の短縮

ローコード開発では、あらかじめ用意された機能パーツを組み合わせ、配置や必要な動作を微調整するだけでシステムやアプリの開発ができるため、開発にかかる工数を短縮できます。また、機能パーツはサービス提供者側で管理されているため、インフラ構築をする必要がありません。つまり、開発スピードの大幅アップにつながります。

  1. 高度・専門的な知識や技術が少なくても開発可能

プログラミングやコードに関する高度で専門的な知識がなくても、ドラッグ&ドロップでシステムやアプリを開発できます。そのため、IT関連の人材がいない、あるいは育っていない企業であっても、ローコード開発ツールの使い方を学ぶことで、システムやアプリの開発が可能です。また、機能を追加したり更新したりする作業も簡単なため、アップデートにも時間がかかりません。人材不足に悩む企業にとっては朗報といえます。

  1. 開発過程におけるミスを抑えることができる

プログラミングする箇所が少ない、つまりコードを記述する範囲が少ないということは、ミスの発生を抑えやすいということでもあります。最初からプログラミングし、コードを記述する場合は、どうしてもミスが発生しやすいものです。しかし、ローコード開発ではあらかじめテスト済みのパーツをメインに使うため、ミスによるバグの発生・修正も抑えられ、効率よく開発が可能です。テスト工数が少なくてすむことはもちろん、運用していくうえでも安定的に稼働しやすいでしょう。

  1. セキュリティ対策の負担を軽減できる

ローコード開発では、ツールの提供者であるベンダーがセキュリティ対策を行っています。そのため、ローコード開発ツールを使えば、セキュリティ対策をゼロから行う必要がありません。もちろんプログラミングした部分やコーディングした部分についてのセキュリティ対応は必要ですが、従来の開発と比較すると格段に工程を削減できます。開発したシステムやアプリのセキュリティリスクに対する不安感も軽減できるでしょう。

ローコード開発の注意点

複数のメリットがある一方で、注意点もあります。

  1. できる範囲が限られる

ローコード開発では、あくまでベンダーが提供している範囲内の機能、カスタマイズ性しか利用できません。そのため、システムやアプリを開発したいと思ったとき、本当にやりたいことができない可能性もあります。システムやアプリの開発によって何を実現したいのか、ローコード開発で目的を達成させることができるのかをよく考えて、ローコード開発ツールを利用しましょう。

  1. 設計や業務分析に関する専門知識は必要

コーディングやテストにかかる作業時間については短縮できます。その一方で、システム設計や業務分析の作業とそれに関する知識は従来どおり必要です。ローコード開発ツールを使う場合は、前述のように機能のカスタマイズ性、拡張性が少ないため、「どんなことができるのか」「それによってどんなメリットが得られるか」などを事前によく検討しなくてはなりません。そのため、設計の工数は増える可能性もあります。

  1. プログラミング知識もあったほうがよい

ノーコードではないため、ローコード開発では多少自分でコーディングすることも可能です。ノーコードに比べ柔軟性がある一方で、それを実現するためにはプログラミングの知識が求められます。例えば、実現したいことに対して機能が少し不足する場合に、不足分を補うためのカスタマイズや拡張を行いたい、という状況が該当するでしょう。

また、ローコード開発ツールやプラットフォームはさまざまなベンダーから提供されており、ツールごと、プラットフォームごとに特徴が異なります。操作性や機能、費用などもさまざまなため、自社に最適なツールやプラットフォームを選ぶことが重要です。プログラミングによってどこまでカスタマイズや拡張ができるのかにも注意し、自社のニーズに合ったものを選択するとよいでしょう。

ローコード開発の注意点を回避するための方法の詳細については「あなたは大丈夫?ローコード開発の落とし穴!」をご覧ください。

ローコード開発を正しく理解し、上手に利用しよう

コーディングを極力行わず、ほとんど画面上の操作だけでシステムやアプリを開発できる開発手法がローコード開発です。従来の開発手法では、インフラ構築からシステム要件の定義、コーディングとテストの繰り返しなどの工数がかかりますが、ローコード開発ではこれらの工数を大幅に削減することが可能です。その一方で、開発内容には制限があることや、一定の専門知識があったほうがよいことなどの注意点もあります。ローコード開発を正しく理解し、上手に利用してシステムやアプリの開発に生かしていきましょう。

システム開発の課題を解決するためのサービスを検討している場合は「超高速開発 ローコード開発とは」をご覧ください。

 

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