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【エバンジェリスト・ボイス】パフォーマンスと満足感

サイバー・セキュリティ・ソリューション(CSS)部
セキュリティディレクター/ エバンジェリスト 関原 弘樹

こんにちは!
サイバー・セキュリティ・ソリューション(CSS)部に所属する
セキュリティディレクター/エバンジェリストの関原です。

秋の終わりがすぐそこに感じられる毎日です。秋といえば食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋、行楽の秋、芸術の秋といろいろありますが皆様はいかがでしょうか?

私はといえば、今年はなんといっても芸術の秋!
私は趣味でオーケストラを中心としたクラシックコンサート鑑賞を楽しんでいますが、この秋の目玉はなんといってもサイモン・ラトル/ベルリンフィルの日本公演でしょう。

世界最高のオーケストラの呼び声も高く、来日公演は常に即完売となるベルリンフィルの日本公演チケット。それに加えて今回は、今は亡きクラウディオ・アバドの後任として2002年からシェフを
務めてきたサイモン・ラトルが来年勇退し、ロンドン響へ転出するという状況での来日となりました。激しいチケット争奪戦が繰り広げられたのは言うまでもありません。

サイモン・ラトルといえば、キャリア初期にバーミンガムのオーケストラとともに創り上げたシベリウスをはじめ、素晴らしい録音をリリースしましたが、それから早30年以上。今回はどのような演奏を聞かせてくれるのか期待に胸が高鳴る毎日です。

ところでオーケストラの公演は通常1回2時間程度ですが、世界一といわれるオーケストラが日本で公演した場合、チケットのお値段が気になりませんか?今回のベルリンフィルを例にとると、最高ラン
クのS席で2,000~5,000!もう少しネームバリュー(?)が下の欧州のオーケストラですと0,000~5,000程度となっています。米国のオーケストラは来日間隔が欧州のオーケストラより
長いことから、活動実績等の相場からするとやや高めの値付けに感じます。

来日公演のチケットは移動・滞在に必要な諸経費が上乗せされるので「高いな!」という感じですが、国内外どのオーケストラであっても基本的には自国での公演はさほど高価ではありません。

実は日本や欧米諸国では定期公演をはじめとするオーケストラの活動コストの一部は自治体からの補助金やスポンサーである企業・個人からの寄付・支援で賄われています。そのため、例えば原価
から積算すると最高ランクの席で0,000以上かかっているいるような公演のチケットでも、お客様には,000程度の価格で提供しています。これは文化の継承のためにクラシック音楽のコンサートを開催できる環境、幅広いお客様に聞いていただける環境を、国や企業が支えていこうという理念ですね。

ちなみに、弊社でも社会貢献活動の一環として今後の活躍が期待される音楽家の方々へ、ささやかなながら支援を行っています。

というわけで、クラシックコンサートのチケット価格には公演の場所やオーケストラのネームバリュー、人気等の要素により幅があるのですが、実際に足を運んでみてそのコンサートのパフォーマンスから各個人が受ける満足感が果たして価格に比例するかというと、実は必ずしもそうではないのが面白いところです。大枚をはたいて高価なチケットを買ったコンサートに失望し、何かの縁でふらっと足を運んだコンサートに感涙するようなことは日常茶飯事です。

オーケストラの機能となる演奏の技術・テクニックがチケットの価格に比例するということは正直否めませんが、経験上様々なコンサートでの満足感を決めるのはそれだけではありません。むしろ満足感への影響はそれ以外の部分が非常に重要であり、例えば譜面への忠実度やライブの高揚感、音色の追及等、満足感の決め手となる基準も人それぞれだと感じています。

「悪いオーケストラはない。悪い指揮者がいるだけだ」という言葉もありますが、私個人としては満足できるよいコンサート・よい演奏にはオーケストラを導く者(=指揮者)の一貫した主張がパフォーマンスとしてアウトプット(演奏に反映)されていると考えています。そして指揮者はその主張を実現するために、例えば自分の情熱や考えを正しくオーケストラメンバーに伝えるリーダシップやコミュニケーション力を発揮しなければなりません。また、スポンサーをはじめとするステークホルダーから必要なリソースを入手できるように交渉力を発揮したり、限りあるリハーサル時間を効率的に使うためにマネジメント力を発揮する必要があります。

ここで弊社のビジネスの一つ「ITシステムの構築」で考えてみます。
構築されるシステムには当然システムの利用目的に基づいた機能要件とシステムの品質に関わる非機能要件があります。特に今日の優れたシステムというものを考えた場合まず機能要件は満たされて当たり前で、ユーザビリティやセキュリティ等の非機能要件のパフォーマンスがいかにお客様のニーズ・期待に合致しているか、という点がお客様の満足感に直結することは異論がないでしょう。

これらのニーズ・期待への対応はシステムのライフサイクルで一貫したものが必要となり、当然上流工程で作り込む必要があります。これらを上流工程で過不足なくすくい上げてシステム開発に活かすにはどうすればよいか。当然、優れた情報処理能力と対人スキルを持ってメンバーを導き、インプットされる文書に直接書いてある要件や、行間から読み取れる要件を確実にパフォーマンスとしてアウトプットできる指揮者=プロジェクトマネージャが必要です。

約半世紀にわたりITシステムの開発をミッションとしてきた弊社も優れたプロジェクトマネージャが多数在籍しており、常に多くのプロジェクトをドライブしています。しかし昨今の開発プロジェクトは数・複雑性ともに増加傾向にあり、プロジェクトの制約条件も厳しくなってきているため、今後必要な人材が不足することは目に見えています。優れたプロジェクトマネージャの育成は業界が共有する喫緊の課題と言えます。弊社では、その課題に対応するために、知識と経験を兼ね備えたプロジェクトマネージャの更なる育成を進めています。

多くの優れたプロジェクトマネージャがお客様に満足をお届けできるようにご期待いただければ幸いです。

ではまた、次回のエントリーでお会いしましょう。

Hiroki Sekihara CISSP, CEH, PMP, CCIE #14607



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関原 弘樹

株式会社インフォメーション・ディベロプメント フェロー / CISSP

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