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【エバンジェリスト・ボイス】農業で活躍するIT技術とは

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株式会社IDデータセンターマネジメント
エバンジェリスト 水谷 知彦    水谷写真_100x150  

ID データセンターマネジメント社所属、エバンジェリストの水谷です。

まず初めに、新型コロナウィルスに罹患された皆様、関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い回復をお祈りしております。
また、新型コロナウィルスにより、多くの活動が制限されるなか、最前線で活動されている医療関係者の皆様、生活必需品の安定供給など普段の生活を支えていただいている皆様、社会インフラを支えていただいている皆様に感謝を申し上げたいと思います。

今回のコラムは、前回  【エバンジェリスト・ボイス】アグリテックとは 農業( Agriculture ×Technology  に引き続き私たちの食生活を支えてくれている農業について見ていきたいと思います。前回のコラムでは、アグリテック(農業(Agriculture)×Technology)の概要について触れさせていただきました。今回は、実際に農業の現場で活用されているIT技術について具体的に見ていきたいと思います。

まず、日本農業の現在の状況から、農林水産省統計によると農業総産出額は、 2015 年ごろより増加傾向にあり、過去 15 年間 8 兆円台で推移していた状況が、 2016 年以降 9 兆円台に回復しているとのことです。
また、近年、段階的に行われている農業への規制緩和から、企業の農業参入へのハードルが下がっており、企業の農業への参入が急増しているとのことです。 2019 年には、 3,286 件(農林水産省調べ)の新しい企業の参入があり、 15 年前の 2004 年には参入数が 10 件だったことから、規制緩和を機に多くの企業が農業を成長産業と捉え、新たに参入していることが伺えます。
この様な状況から、参入した企業が自社の強みを生かし、農業の成長に貢献していると推測することができます。また、参入した企業には、 IT 技術に強い企業も多数含まれているため、多くの IT 技術が活用されていることも容易に想像できます。

では、実際に農業の現場で活用されている IT 技術について、具体的に見ていきたいと思います。
農作物を作るまでには、大きく以下の様な工程があります。
・農作物の選択
・圃場(畑)の土づくり
・育成
・収穫
各工程で活用されている IT 技術は、以下の様なものがあります。

農作物の選択で活用されている IT 技術
栽培する農作物の選択では、栽培計画をクラウド上で管理するサービスが提供されております。サービスを利用することにより、蓄積された栽培実績の情報から、栽培地域の特性、季節などの栽培条件に応じた適切な農作物を選択することが出来るようになります。熟練者の栽培ノウハウに頼ることなく、適切な農作物を選択することが出来れば、栽培ノウハウが少ない企業、農家でも栽培に失敗する確率を減らすことが可能になると考えられます。
この様なサービスの精度を上げるためには、各地域の熟練農家、農業関係者の栽培ノウハウをデータ化することが重要になります。現時点で熟練者のノウハウをすべてデータ化しているとは考えづらいため、今後もサービスは継続的に改善され精度の高いものになっていくと考えられます。

圃場(畑)の土づくりで活用されている IT 技術
圃場の土づくりでは、ドローンを利用したリモートセンシングが行われています。ドローンを利用したリモートセンシングでは、ドローンを利用して土の状態を計測できるため、人手で行う場合と比較して、広範囲かつ正確に計測できるようになります。圃場内の場所によって、土の状態に違いがあると、そこで育成される農作物の品質にバラツキができてしまうため、土の状態を正確に把握することは、質の高い農作物を作る上で重要なことであると考えられます。

農作物の育成で活用されている IT 技術
農作物の育成では、こちらもドローンをはじめとした各種リモートセンシングの技術が活用されております。具体的な例として、病害虫の発生状況をドローンで撮影した画像から AI を利用して分析するといったものがあります。従来、病害虫の発生状況把握は、主に人による目視で行われてきましたが、実施する人のスキルレベルに依存するため、見落としや、兆候を見抜けないなど問題もありました。ドローンによる撮影、 AI よる分析が進めば、見落としの防止や、スキルレベルの低い新規農業参入者でも、正確に病害虫の発生状況を見抜くことが可能になると考えられます。また、ドローン撮影による自動化が進めば、人手に頼る場合と比較して、より短い間隔で圃場を監視することが可能となるため、病害虫への対処をより迅速に行うことが可能になると考えられます。

農作物の収穫で活用されている IT 技術
農作物の収穫では、農作物の品質を計測するセンシングの技術が活用されております。活用されているセンシング技術では、糖度や含水率など農作物の品質を、農作物を傷つけることなくセンサーを利用して計測することが可能であるため、収穫の適切なタイミングを熟練者のノウハウに頼ることなく、判断することが出来るようになっています。また、センサーで計測した情報を蓄積して、育成環境と品質の関係を正確に把握することで、より品質の高い農作物を生産することが可能となっています。

その他、農業で利用されている IT 技術は、出荷や販売、需要の予測に関するものまで数多く存在しています。今後は、各 IT 技術の統合が進み、共通のプラットフォーム上ですべての工程の管理ができるようになってくると考えられます。そうなると、農業従事者の働き方も PC やタブレット、スマホを操作している時間の方が畑などの現場に出ている時間より長くなり、都心のオフィスで働いている状況と変わらなくなるかもしれません。
畑の上をドローンやロボットが自在に動き回り、黙々と作業している未来を想像すると、昭和生まれの私としては、映画や漫画で見ていた世界が現実になるみたいでワクワクしてきます。

新型コロナウィルスの感染拡大が早く収束することを願って、こちらのコラムの締めとさせていただきます。
それではまた、次のコラムでお会いしましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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水谷 知彦

株式会社IDデータセンターマネジメント テクニカルスペシャリスト

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