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SXSW(South By South West)2022イベントレポート

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ハムザ・アフメッド顔写真

こんにちは、IDアメリカのハムザ・アフメッドです。IDアメリカではアメリカにおける最新技術やトレンドを調査しており、今回はテキサス州で開催されたイベント「SXSW」について紹介したいと思います。ID アメリカにとって、そして私にとっても初めてのコラム記事ですので、どうぞよろしくお願いします。

SXSWとは

2022年のSXSWは2年ぶりに開催されたイベントでした。ちょうどオミクロン株の感染が収まりはじめ、今年は対面形式でのイベントが可能になったのだと思います。イベントには約30万人が会場に参加していましたが、2020年に比べると2割ぐらい減ったようです。

テキサス州のオースティンで開催されるこのSXSWは、芸術家が集まるイベントでもありますが、最新技術に関連する人も多数集まります。今回、NFTはテック界だけでなく、クリエイティブ界でも話題となり、Blockchain Creative LabやPorsche、DoodlesがNFTを使ったエンターテイメントを披露したり、NFTの未来について語ったりしていました。その他に話題になったのはVR/AR、DAO、メタバース、そしてセキュリティでした。このコラムでは今年のSXSWの技術面でのハイライトを紹介します。

イベントの主役:NFT!(Non-Fungible Token)

SXSW 2022を「NFTイベント」と呼ぶ記者もいるほど、NFTはSXSWで注目されていました。実際にBlockchain Creative Lab(BCL)やDoodleがNFTのアートワークを展示したり、DCコミックスがNFTベース初のトレーディングカードゲームを発売したり、さまざまな会場が設けられていました。そしてその努力が実を結んだようで、NFTをテーマにした会場やセッション、ギャラリーはすべて、その一端を垣間見ようとする参加者で満席となっていました。
 
BCLでは、イメージミュージックを聴くと、そのコンテンツのNFTを得ることができました。NFTを買ったことがない私にとっては、初めて入手したNFTでした。

DoodleやArtでは、NFTのアートを物理的に表現し、NFTをベースにした世界を紹介していました。

DoodleとArt

4日間だけ開催されたDCコミックスの会場に行くと、最新作のバットマンに登場するキャラクターの原寸大像を見ることができ、最大の目玉は、入場者に配られたNFTを使ったトレーディングカードゲームでした。このトレーディングカードは、DCコミックスのアプリで読み取ることができ、同じアプリを持つ他の人と交換することができます。
 
また、Porsche(ポルシェ)はGT7の美しいスポーツカーを会場で披露し、NFTが出資するレースアワードの可能
性を紹介しました。

Porsche

セッションの方では、NFTに関するトピックも満載で、自分だけのNFTを作ることができるインタラクティブなラボから、新たなブロックチェーンSolanaのCEOが、業界が飛躍的に成長したときの経験について語っていました。SolanaのCEOは「NFTは流行なのか?」と聞かれた際に「間違いなく流行です、まだ我々の世界で居場所を見つけようとしている流行です」と答えていました。

Solana

また、芸術以外の分野でのNFTの利用についても興味深い話がありました。人道的な活動を支援するためにNFTが利用されたことや、NFTを使い、困っている人を助けようとしたエピソードが紹介され、NFTを使った人気オンラインゲーム、Axieについては、ゲーム内でNFTを集めることによってお金を稼ぐということも紹介していました。
 

デジタル世界:メタバース

メタバースはまだ存在しないですが、このイベントのメイントピックのひとつでした。ほとんどの人がメタバースに対して肯定的な見方をしていて、その中で最も期待しているのがリモートで参加したMetaのCEO、マーク・ザッカーバーグでした。ザッカーバーグ氏はメタバースが必然であると語っていました:
 
「メタバースはインターネットの次の章だと思います。いま存在しているモバイルインターネットのように、その後継になると思います。」~ザッカーバーグ
 
また、懐疑的な意見もありました。
Reggie Fils-Aimé氏は、Metaのメタバースに対するビジョンについて、「可能性が低い」と述べており、ソーシャルやゲームの面ではメリットがあることに同意するものの、人々は一日の大半をVRヘッドセットで過ごそうとはしないと述べていました。「私は、VRが100%の時間、あるいは100%のエンターテインメントを提供する体験になるとは思っていません」と。
 
しかし最後にはARでの未来は可能性があると語っていました。

新たなる経験:VR

SXSW 2022では、世界中から集まったプロデューサーたちによる没入型VR/ARプロジェクトを紹介するためだけに作られた展示があり、多くのVR展示は長蛇の列で、さらに予約も必要でしたが、その努力に見合うだけの体験があったと思います。VRで制作されたコンテンツは、平面的な画面では得られない没入感を与え、VRで制作されたコンテンツは、周囲の環境と連動したユニークなストーリーテリングが可能です。
 
「Genesis」は、地球と人類の進化を体験するVRの旅です。ビッグバンから始まる47億年の進化を10分程度で見ることができるようになっていました。「Persuasion Machine」では、視聴者はデータ空間に入り、テクノロジーにより収集したデータをいかに利用して私たちをコントロールするのか紹介していました。

新たなる経験:VR

また、フランスのカマルグにある湿地帯を4人1組で探検するインタラクティブなVR体験「Liminal Lands」などのインタラクティブなセッションも行われており、「Gumball Dreams」は、3人1組でパズルを解いていくものでした。
 
VRというとゲームを連想される方が多いと思いますが、テレビの次のエンターテインメントとして、そのユニークな環境はクリエイターに新たな体験の創造を与えてくれるのではないでしょうか。

次世代インターネット:Web 3.0

インターネット上で最も顕著な構造は、政府や企業が配置した多数のサーバーにサイト情報を格納するWeb 2.0アーキテクチャです。この構造では、企業によって管理されているため、ユーザーの情報を自由に引き出すことができます。Web 3.0では、この中央集権的なWeb構造から、分散型のWebへと移行していくことになります。

次世代インターネット:Web 3.0

SXSWのセッションで、「Web2.0が企業向けにデザインされたとすれば、Web3.0は消費者向けにデザインされている 」と述べました。コンテンツをコントロールする中央機関が存在しないため、Web 3.0では情報の検閲やユーザー情報の抜き取りが不可能になります。Web 3.0用に作られたアプリはdApps(Decentralized Apps)と呼びます。
 
現在、インターネット全体のアーカイブ化を進めているインターネット・アーカイブは、現在のインターネットは外部からの影響を受けやすいと述べていました。例えば、チェコスロバキアが使っていた「.cs」ドメインは、チェコとスロバキアに分割されたことでアクセスできなくなってしまい、それで失われた情報量は膨大なものです。 幸い、Internet Archiveによってほとんどの情報が保存されましたが、その多くは組織発足以前から発生していたもので、Web 3.0はこれを回避することができます。
 
Web 3.0は、来るべきメタバースやDAO(Decentralized Autonomous Organization)の基盤となる技術で、今後も発展が期待される技術です。

分散型組織作り:DAO(Decentralized Autonomous  Organization)

DAOは、プロジェクトの資金調達、コミュニティの統治、コミュニティとしての価値共有のための新しい方法です。トップダウンの階層構造ではなく、Web3テクノロジーと急速に進化するガバナンスやインセンティブシステムを利用して、意思決定の権限と金銭的報酬を分配するものです。
 
イーロン・マスク氏の弟で、慈善団体Big Green DAOの共同設立者であるキンバル・マスク氏は、非営利組織の管理方法としてのDAOの利用について議論していました。非営利団体の資金調達が困難な現状を説明し、オーバーヘッドが大きく、本来の目的に使用される前にかなりの資金が使われてしまうことを指摘しており、Big Green DAOでDAOを使うことで、オーバーヘッドを減らして管理を民主化し、資金が必要なところに必要な時に届くようにすることができたと述べていました。
 
ロシアの抗議グループPussy Riotのメンバーであり、UnicornDAOとUkraineDAOの共同創設者であるNadya Tolokonnikovaは、ウクライナの人々を助けるためにDAOをどのように使用したかについて話していました。UkraineDAOでは、ロシアとウクライナの紛争の影響を受けた人々に医療援助を提供するために、NFTを使ったDAOの階層構造で「本当に素早くお金を分配する」ことができたそうです。
 
 
共同創設者であるAlex Zhang氏が作ったFriends With Benefits(FWB)DAOは、2020年に 「オンラインの事故 」として始まり、「社会的・経済的整合性」を持つ人々のコミュニティへと成長しました。FWBは、一部の公人や著名人を含む6,000人のトークン保有者で構成され、最近発表されたデジタルイベントをアーカイブするツール「FWB.Archive」など、Web3プロダクトを共同で立ち上げています。
 
このようにDAO型の組織も出てきています。

増加する脅威:サイバーセキュリティ

SXSW(South by Southwest)では比較的マイナーなサイバーセキュリティでしたが、今年のはじめに出現した「Conti」の情報流出について語られていました。
 
ハッカーは年々進化していて、単独で攻撃する時代から、厳しいヒエラルキーを持つ組織になっています。現在では、ハッキングソフトを販売するハッカー企業もあり、コールセンターでのサポートを提供しているだけでなく、面接を行って新入社員を採用したり、休日や健康保険までも取得できたりすることが判明しました。
 
なぜ、このようなことがわかるのでしょうか?実は、ウクライナとロシアの緊張関係によって、このことが明るみに出てきたのです。ロシアには世界でも有数のハッカー組織が存在していて、このハッカーはウクライナのハッカーと連携していたのです。今回の事件で、ウクライナのハッカーが全事業の情報を流出させました。いわゆるランサムウェア「Conti」の情報流出です。
 
講演では、ハッカーがどのように活動しているのかの詳細な説明や、ハッカーが向かう未来の可能性について語られました。

エキスポ

エキスポ

世界中からのスタートアップや企業がサービスと製品を紹介する場で、ここには100社以上が展示されていました。

Hap's Inc社(※外部サイト)は、ユーザーの手に皮膚感覚を与えるハプティックグローブを作りました。例えばユーザーがボールを持ち歩くシミュレーションの場合、グローブはボールを保持することを表すために圧力を加えます。これは、その人が身につけているバックパックが空気圧を生み出すことで実現しています。

ハプティックグローブ

Panasonicの子会社Shiftall(※外部サイト)はPCに繋ぐためのVRヘッドセットを開発しました。PCにつなげることにより、バッテリーなどのパーツを外して小型化することができたのです。

Shiftall VRヘッドセット

Haritora(※外部サイト)はShiftall社の製品の1つで、全身に付けるセンサーで実際に行っている動きをVR世界に反映させることができます。

Haritora

Einride社(※外部サイト)はポーランドの企業で自動運転電動トラックを開発しており、車は自動的に動くため運転手もオペレータも不要です。搭載している電池は2~3時間で充電ができるため、ダウンタイムを削減することができます。

自動運転電動トラック

Ethernity社(※外部サイト)はNFTベースのオンラインゲーム企業です。探し当てるアイテムや防具はそれぞれランダムな属性や数値を持つNFTであることから、プレイヤーがNFTの交換や販売することができます。

Ethernity社ゲーム展示

AIを活用したインタラクティブな動画を制作するロサンゼルスのスタートアップ企業のStoryFile社(※外部サイト)は、実際の人物とコミュニケーションがとれるシステムを開発しました。マイクロフォンで話しかけるとその人が答えてくれます。写真の人物はスタートレックで有名なWilliam Shatner氏です。

Conversational Video

以上、イベントレポートでした。
 

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