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VUCA時代に対応するための学習の取組み方

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ICTサービス第5部
テクニカルスペシャリスト 千葉 由紀祐   千葉さん顔写真_184x297

こんにちは、テクニカルスペシャリストの千葉です。
 
6月となり、新年度になって早2か月が過ぎました。新年度を機に、DX関連技術などの新たな技術習得にチャレンジされている方は多いのではないでしょうか。

各企業とも、経営戦略としてDX推進のための価値を生む人材育成に力を入れていると思いますので、自社の戦略を理解した上で取り組むケースは多いのではないかと思います。
 
前回のコラムで先行きが不透明なVUCA時代に関して触れましたが、今の時代は企業自体の先行きも不透明であることから、企業としての戦略的な取組みと共に、個人においても知識・技術の幅を広げる学習の取組みが重要となります。
 
今回は、最近の状況・動向を踏まえた上で、VUCA時代に対応するための学習の取組み方について、私の考えを述べたいと思います。

最近の状況・動向

情報処理推進機構(IPA)が今年4月に公開した「デジタル時代のスキル変革等に関する調査」において、新たなスキル取得の必要性を強く認識している人の割合が、先端IT、非先端IT従事者共に、前年度比で1.5~2倍程に大きく増えています。

<活躍し続ける為の新しいスキル習得の必要性の認識>
活躍し続ける為の新しいスキル習得の必要性の認識
引用(※外部サイト):IPA「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2021年度) 個人調査報告書」P30

一方で、必要性を強く認識しているものの、スキル向上や新たなスキル獲得がなかなかできていない実態があります。

<直近1年におけるスキル向上・新たなスキル獲得の状況>
活躍し続ける為の新しいスキル習得の必要性の認識
引用(※外部サイト):IPA「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2021年度) 個人調査報告書」P33

こうした状況の中、経済産業省が今年3月に「デジタルスキル標準」としてデジタル社会の人材像や、人物像の中でのビジネスパーソンの学習の指針となる「DXリテラシー標準」を公開しました。
 
DXリテラシー標準では、組織・企業、個人、教育コンテンツ提供事象者の3つのそれぞれの立場で、DXリテラシーとして身に付けるべき知識やマインド・スタンスが具体的な行動例・学習項目例などとあわせて記載されています。

「デジタルスキル標準」経済産業省
引用(※外部サイト):「デジタルスキル標準」経済産業省

「DXリテラシー標準」P5経済産業省
引用(※外部サイト):「DXリテラシー標準」P5  経済産業省
学習目標を定めるにあたり、このような学習の指針を参考に現在の自身の知識・技術を踏まえ、高めたい・習得したい技術を設定すると思いますが、では、現在の変化の激しい時代に対応するために、どのように学習に取り組むのが良いでしょうか?

VUCA時代に必要な学習の取組み方

私は、「学習を習慣化できる環境作り」と「知識・経験から素早く学習できる力(ラーニング・アジリティ)を高める」の2点が、今の時代に必要な学習の取組み方と考えています。

1.学習を習慣化する環境作り

変化の激しい時代において次々と出現する新たな技術・サービスに対応するためには継続的な学習が求められます。短期的な集中学習の繰り返しは、普段と違う力を使うため持続には負担感がある事から、習慣化による負担軽減を図り継続性を高める必要があります。
そして、習慣化には自分の生活リズムにあった学習手段・環境を作ることが有効です。
 
自分の生活リズムに合わせられ、かつ新しい幅広い知識・技術が得られる学習手段の代表的なものに公開オンライン講座が挙げられます。有名なものとして大規模公開オンライン講座のMOOC(Massive Open Online Course)、日本版「JMOOC(※外部サイト)」がありますが、今年3月に経済産業省と情報処理推進機構(IPA)がポータルサイト「マナビDX(※外部サイト) 」を公開しました。また、東京都も学び直しのポータルサイト「東京リカレントナビ(※外部サイト) 」を同じく今年3月に公開しており、選択肢が広がっています。
 
時間を問わず閲覧可能で無償のコンテンツも多く、また、基礎から応用に至るまで段階的に学び易くなっており、自分にあった環境作りがし易くなっています。
特に「マナビDX」は、前述の「DXリテラシー標準」に則しており、今後もデジタルスキル標準に沿って講座の充実を図るとの事で、VUCA時代にマッチしたサイトとして有効活用できると思います。
 
公開オンライン講座の他にも、同じ興味を持つ者、同じ製品の利用者、同じ資格を取得した者などで集まるオンラインコミュニティを活用したり、情報サイトに登録して最新情報を幅広く収集するなど、学習の手段・組み合わせは色々考えられます。
 
新しい幅広い知識・技術が得られ、自分にとって負担感のない習慣化が可能な学習環境を構築する事が、変化の激しい時代に対応するための継続的な学習に不可欠言えます。

2.知識・経験から素早く学習できる力(ラーニング・アジリティ)を高める

新しい事を学ぶ際や、誰も行ったことのない未知の分野に取り組む際に、自身が持つ知識・経験から素早く理解・学習し対応できる力をラーリング・アジリティ(学びの機敏性)といいますが、今の早い変化に対処するために非常に有効なスキルです。
私の経験から、ラーニング・アジリティを高める取組みとして以下の3点が挙げられます。
 
①学習する際は、常に自分事に置き換える
前述の通り、ラーニング・アジリティは自分が持つ経験・知識から素早く学ぶ力のため、今持っている経験・知識を「自分の引き出し」から取り出すには、自分事と紐づけておくと見つけ易くなります。“これはあの業務で使えるな”、“ここがあの機能とは違うのか”など、自分の経験・知識と関連づける事で深く考える様になり、そのものの本質の理解に近づけます。他人事では理解が浅く、引き出しにしまった事を忘れたり、覚えていても取り出しに時間が掛かったりするため、自分事に置き換える事が素早い対応につながります。
 
②気になった事は確認する・やってみる
知識・技術の習得における幅と深さにおいて、深さを求める事は勿論必要ですが、変化に対応するためには、幅を広げる取組みは欠かせないものです。既知か未知かの差は大きいものであり、気になった事はそのままにせず確認して自分の引き出しに取り込むことが、幅を広げるための行動として大事です。知る前に知る必要がないと理由付けを行うのなら、知った結果の理由付けを行うほうが、知識の幅も広がります。気になる者同士が集まるコミュニティなどへの参加も、新たな気付きを得て引き出しを広げる機会となり有効な手段です。
 
③アンラーンを意識する
アンラーン(unlearn)とは知識や学ぶための習慣などを見つめ直し、必要であれば過去の知識や習慣を忘れて、新たな知識を学習するためのスペースを確保するという考え方です。過去の知識や習慣に執着し、その延長線上で学んでも、新しい事に適応する機敏性が弱くなります。また、今の変化の早い時代では、過去の成功体験と同じ取組み方で行っても成功するとは限りません。

成功体験は自信として引き出しの中で大事なものです。それに加え、成功に至るプロセス・習慣については「前回はあの状況だからできたもの。今の状況ではどのように対応すべきか」と常に問いかけ見直す(引き出しを整理・衣替えする)ことで、より時代にあった知識の入れ替えができる様になります。
 
この3つの取組みによりラーリング・アジリティを鍛える事で、新しい事や未知の事など、変化の激しい状況下においても対応が可能になると思います。

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まとめ

先行きが不透明の状況において、これからの人生100年時代を生き抜くためには、変化に対応できる「学びの工夫」が必要です。
 
本文で述べた「学習を習慣化する環境作り」、「ラーニング・アジリティの向上」などの取組み・工夫によって、学ぶことが負担にならずに新しい知見を継続的に身に付ける事ができると思います。
 
本コラムが、自分にマッチした学習の取組み方を検討・確立する上で参考になれば幸いです。
 
では、また次回コラムでお会いしましょう。


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千葉 由紀祐

株式会社IDデータセンターマネジメント テクニカルスペシャリスト

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