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ChatGPTの新機能 -ウェブブラウジング&プラグイン-

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フェロー 関原 弘樹顔写真

初夏の風が気持ち良い季節ですね。マスクを外すと薫風の5月を堪能できます。

銀座の歌舞伎座では、明治時代の二人の名優をたたえる吉例の團菊祭(だんきくさい)が満員御礼の大盛況です。銀座の街並みも多くの観光客でにぎわい、コロナ前の活況を取り戻したようです。


©2023 Hiroki Sekihara All Rights Reserved.

一方IT関連ニュースのトレンドはというと、みなさまもご存じのようにこの冬から引き続きChatGPTをはじめとする生成AI(ジェネレーティブAI)の話題一色でした。



先行する言語モデルのOpenAI(ChatGPT)Microsoft(Bing AI Chat)陣営や画像生成のStability AI(Stable Diffusion)だけでなく言語ではGoogleのBard、画像ではAdobeのFireflyなども加わり、その活用方法や技術的、社会的な課題への対応という話題を中心にまだまだ旬のネタとしてのブームは続きそうです。

さて、ここからが本題です。
私の利用しているChatGPT Plusアカウントの方にBeta FeaturesとしてWeb browsing機能(ウェブブラウジング)とPlugins機能(プラグイン)がリリースされましたので、今回はこれら2つの機能についてちょっと見ていきたいと思います。



※本コラムは、2023年5月18日時点の情報に基づいて作成されています。

ChatGPT Beta Featuresとは?

ここはネイティブに検索で最新情報を取り込めるBing AI Chatに教えてもらいましょう。情報ソースもBingの回答をそのまま引用しています。

ChatGPT Beta Featuresは、OpenAIが開発・運営するチャットボットAI「ChatGPT」のサブスクリプションプランである「ChatGPT Plus」ユーザーに向けて、ウェブブラウジング及びプラグイン機能をベータ版として公開することを発表したものです。※1

※1 ChatGPT、Proユーザーに向けて70以上のプラグインとウェブブラウジング機能を公開

つまり課金しているユーザの一部が希望により新しい機能を先に体験できるということですね。

ChatGPT ウェブブラウジング機能とは?

引き続きこれもBing AI Chatに教えてもらいましょう。
 
ChatGPTのウェブブラウジング機能は、Webからリアルタイム情報を取得し、最新のデータで質問に回答したり、記事を読んで要約することができます。あなたに代わってWebをサーフィンする個人アシスタントのようなものです。この機能は2023年5月12日にOpenAIによって発表され、現在ChatGPT Plusユーザーに利用可能です。
 
つまり質問に対して検索結果を取り込んで回答を生成するBing AI Chatと同様の仕組みが実装されたと考えてよさそうですね。



※私の環境ではチェックをDefaultからBrowsingに変更しないとうまくいきませんでした。


ちょっと試してみましょう。


回答は全く問題ないように見えますが、Web検索をはさんでいるためかレスポンスの開始まで分(ふん)レベルの時間がかかり、かなり遅い印象です。


ちなみにBing AI Chatですとこうなります。



特に指定をしていない“項目数”については少ないものの、私の環境ではこちらのレスポンスがChatGPTより格段に速かったです。このあたりはプロンプトのデフォルト設定の違いでしょうか??

ChatGPT プラグイン機能について

お次はプラグイン機能です。
Bing AI Chatに聞いてみると一覧は出してもらえませんでしたがいくつか具体的なサービス名を返してきます。

ChatGPTのプラグインは、ChatGPTを通じてサードパーティーのサービスにアクセスできるようになる機能で、現在70以上のサービスが提供されています。例えば、Expedia、Kayak、OpenTable、Shopify、Slack、食べログなどがあります。

ちなみにおすすめを聞いたら以下のよう回答が返ってきました。
こちらの質問が具体的でないため役に立たない回答になっていますね。

おすすめのプラグインについては、個人的なニーズや目的によって異なります。ChatGPTのプラグインは、ChatGPTを通じてサードパーティーのサービスにアクセスできるようになる機能で、現在70以上のサービスが提供されています。例えば、旅行の計画を立てる場合はExpediaやKAYAK、食事の予約をする場合はOpenTable、買い物をする場合はShop AppやKlarna Shoppingなどが便利です。自分のニーズに合ったプラグインを選択してみてください。

ChatGPT プラグイン機能の利用方法

「自分のニーズに合ったプラグインを選択してみてください」と言われてしまったのでちょっと見てみましょう。




先ほどのウェブブラウジング機能と同様にチェックをDefaultからPluginに変更します。




No plugins enabledの表示を確認しPlugin Storeへ



すると以下ような注意書きが出てくるので確認します。

Plugins are powered by third party applications that are not controlled by OpenAI. Be sure you trust a plugin before installation.
プラグインは、OpenAIの管理下にないサードパーティのアプリケーションによって動かされます。インストールする前に、プラグインが信頼できるものであることを確認してください。


Plugins connect ChatGPT to external apps. If you enable a plugin, ChatGPT may send parts of your conversation and the country or state you're in to the plugin to enhance your conversation.
プラグインはChatGPTを外部アプリに接続します。プラグインを有効にした場合、ChatGPTは会話の一部とあなたがいる国や州をプラグインに送信し、会話を強化することがあります。


ChatGPT automatically chooses when to use plugins during a conversation, depending on the plugins you've enabled.
ChatGPTは、有効化したプラグインに応じて、会話中にプラグインを使用するタイミングを自動的に選択します。


ここでプラグイン機能利用に関する注意点が見えてきましたね。

上記の注意書きからするとプラグイン機能を有効にすると関連すると思われるデータが入力された際に自動的にサードパーティにデータが送信されるようです。
 ⇒つまり事前にサードパーティのデータ利用規約の確認が必要?

OpenAIがサードパーティや彼らの開発したソフトウェアについてどの程度審査をしているのかわからない現状では注意しておきたいところです。

ChatGPT プラグイン機能を試す

OKを押して同意すると以下の様な選択画面となります。
日本発のプラグインもありますね。




コラム執筆時点では1ページに8つのプラグイン×11ページで計88のプラグインが確認できました。




せっかくなので事例として今回はこの中からVideo Insightsというプラグインを試してみましょう!




Installをクリックすると数秒で使用可能になります。




今回はこの2時間以上あるアルトマンのインタビューをネタにしてみましょう。




Video Insightsのプラグインが有効な状態でYouTubeのURLを入力すると自動的に要約が出力されます。
思った以上に手軽ですね(^^♪



続けて日本語でプロンプトを与えてみます。



(真偽はともかく)わかりやすい文章ですこれは情報収集がかなり楽になりそうですね。


もう一つ、昨年のMicrosoft IgniteからCEO Satya Nadellaの講演からInsightを引き出してみましょう。



プロンプトは「このビデオの内容から、2023年におけるMicrosoftのクラウドとAIの戦略を合計1,000字程度の箇条書きの日本語でリストアップしてください。」です。




ちなみにプラグインではUsed xxxxx(プラグイン名)の部分をクリックするとプラグインを介して送受信したメッセージ(JSON)を確認できます。
入出力の改善や透明性の確認に役立ちそうです。



今回のJSONを確認してみるとVideo Insightへの送信データとしてYouTubeの”video-id”としてURLにもある"vlHnAlqVAkA"だけが送信されていることがわかります。
ただこれはbodyに限った話でheaderとしてどのような情報が送信されているかは何とも言えませんね。


いかがでしょうか?
このプラグインの利用シーンがイメージできればと思います。

ただ、このプラグインChatGPTのダッシュボードからはどのような組織・個人が作っているのか全く分かりません。。
こんなものを利用して「いかがでしょうか?」もないかもしれませんね。正式リリースまでにそのあたりはクリアになっていてほしいものです。

ChatGPT プラグイン機能の応用

このプライグイン機能ですが現在3つまで同時に使えるという噂を聞きましたので、スペースの都合上、少しだけとなりますが試してみます。

まずTabelogをInstallします。




2つのプラグインが有効なことを確認して……




検証に使うYouTubeのソースはこれです!



URLだけを入れると例によって動画の情報が出力されます。




続いて日本語で「このビデオの料理を東京23区内でリーズナブルに提供してくれて、5月23日の19:00から4名で予約できる店を教えてくださいmm」(ビリヤニという単語を使わない)というプロンプトを入れるとこのようなJSONが飛び……




このようなJSONが返され……




予約日時と人数が入力済のTabelogサイトへのリンク、Tabelogスコア、イメージ写真が5店舗分出力されました!



筆者おすすめの店も2番目に出力されていてよかったです。
(情報として今回は3番目に東京23区にない店も出力されたことをお伝えしておきます。)

付録

【付録A】ChatGPT Plusに加入する方法とそのメリットは?

ここで、ご存じの方も多いかと思いますがBing AI Chatからサジェスチョンされたので念のためChatGPT Plusに加入する方法に触れておきます。

ChatGPT Plusに加入するには、次の手順に従ってください。

  1. ChatGPTのウェブサイトを開きます。
  2. アカウントにログインします。
  3. 画面の左下にある「Upgrade to Plus」ボタンを探します。
  4. 「Upgrade plan」をクリックします。
  5. クレジットカード情報を入力し、「Subscribe」をクリックします。

ChatGPT Plusは、月額20ドルで利用できます。加入者は、ピーク時でもChatGPTへの一般的なアクセス、より高速な応答時間、新機能と改善への優先アクセスなどの特典が受けられます。




ちなみに請求についてカード明細には以下の様に記載されます。



もう少し円高だと$20の表示と精神的な乖離が少なくてうれしいですね。。

【付録B】非課金ユーザへのリリース時期

こうなるとChatGPT Plusに加入していない一般ユーザへのリリース時期が気になりますが、現在のところ近日中とはいいながら具体的な日程についての情報は無いようです。。



ともあれ今回リリースされた2つのBeta Features。
ChatGPTのケイパビリティ強化に向けて今後どのような展開を見せるのか今後もチェックを続けていきたいですね。

おわりに

今年は江戸末期から明治にかけての人気狂言作者(歌舞伎のシナリオライター)である河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)の没後130年というメモリアルイヤーとなり、年明けから今月まで多くの作品が舞台にかけられています。

この黙阿弥や冒頭の團菊祭に名を遺した名優、九代目團十郎(だんじゅうろう)と五代目菊五郎(きくごろう)が活躍した明治時代はご存じのように文明開化の時代でした。

洋装、洋食、蒸気機関……

日本の文化に様々な変化をもたらしたこの激動の時代、歌舞伎は今の様な古典、伝統芸能としての位置づけではなく、むしろその時々の民衆の耳目を集める様々な出来事・事件をあっという間に作品(狂言)に仕立て上げて見世物として庶民相手に興行する、言ってみれば流行りモノに近い性質を持っていました。

例えば明治23年秋にイギリス人曲芸師スペンサーが来日し、横浜や上野で気球に乗って空を飛び、落下傘で降りてくる芸を披露し観客に大喝采を受けた出来事がありました。
これを五代目菊五郎が黙阿弥に作品化させ、翌年早々に舞台にかけています。

風船乗評判高楼(ふうせんのりうわさのたかどの)というこの作品、散切り頭(ちょんまげではない洋風の髪型)の菊五郎が舞台上で宙乗り(ワイヤー機構で釣り上げて空中で演技する)するというなんとも見世物チックなものであったそうです。

[ご興味のある方へ]
風船乗評判高閣 錦絵情報 文化デジタルライブラリー
明治キワモノ歌舞伎 空飛ぶ五代目菊五郎

もう一つ、黙阿弥はその作品の中で七五調(しちごちょう)のリズムに乗った美しい名セリフ(オペラでいうところのアリアに相当)の数々を生み出し後世に残しています。

弁天小僧菊之助の「知らざあ言って聞かせやしょう 浜の真砂と五右衛門が~」
お嬢吉三(おじょうきちさ)の「月もおぼろに白魚の かがりもかすむ春の空~」

などの名調子はみなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

さて、件のChatGPTはこの激動の時代、令和の人気狂言作者になれるでしょうか?

まずは七五調のセリフの冒頭を考えてもらいましょう!



う~ん。思い付きでプロンプトを入れてみたものの字面を見ても声に出してみてもイマイチですね。。

現行の日本語理解能力の弱いChatGPT(をはじめとする大規模言語モデルのアーキテクチャ)では言葉の中に唄の要素を持ち、掛け言葉が多用される七五調の本質を理解するのはまだまだ難しいのかもしれません。

“Shibaraku” at Ichimura-za by Toyokuni Utagawa III


ではまた、次回のエントリーでお会いしましょう。


Hiroki Sekihara,
CGEIT, CRISC, CISSP, CCSP, CEH, PMP, CCIE #14607 Emeritus,
AWS Certified Solutions Architect – Professional,
AWS Certified Security – Specialty,
Azure Solutions Architect Expert,
Google Cloud Certified Professional Cloud Security Engineer,
Oracle Cloud Infrastructure 2021 Certified Architect Professional,
Oracle Cloud Platform Identity and Security Management 2021 Certified Specialist,


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関原 弘樹

株式会社インフォメーション・ディベロプメント フェロー / CISSP

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