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情報セキュリティ教育とは?その必要性や学習テーマ事例、実施時のポイントなどを解説

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ID-Ashura/セキュリティサービス

IT・ICT化した業務では、企業全体でセキュリティ意識を向上させることが重要です。従業員一人ひとりが情報セキュリティについての知識を持ち、日頃から情報セキュリティへの意識を高めておかなければなりません。
 
 そのため、情報セキュリティ教育は、現代の企業にとって欠かせないものとなっています。本記事では、情報セキュリティ教育の基本や必要性をおさらいしながら、学習テーマ項目の事例や教育を進める際のポイントなどについて解説します。

情報セキュリティ教育とは

情報セキュリティ教育とは、企業の従業員一人ひとりの情報セキュリティに対する意識を向上させる教育のことです。

不正アクセスやマルウェア感染のリスクを最小限に抑えるには、業務の取り組み方やルールの見直し、さらにはシステムのセキュリティ強化も重要です。しかし、これらの防御体制を整えても、最終的には「人」がそれを利用するため、最も重要なのは従業員のセキュリティに関する知識と意識の向上だといえます。

情報セキュリティ教育を通じて、従業員はさまざまな脅威の存在や、それらがどのようにして発生するかについての理解を深め、情報漏洩や改ざんといったリスクを抑えるための警戒心を持つことができます。情報セキュリティ教育は、セキュリティに関するインシデントを防ぐ上で欠かせないものです。

情報セキュリティ教育の必要性

ITやICTを推進する際は、パソコンやインターネットなどの技術を扱うだけではなく、そのような環境で起こり得るサイバー攻撃やデータ流出などのリスクを知っておかなければなりません。

企業に対するサイバー攻撃は、年々増加しています。また、従業員によるデータの不正持ち出しや人為的なミスなどによる情報漏洩も増えています。
 
 東京商工リサーチが2024年1月に公表した2023年の「上場企業の個人情報漏洩・紛失事故調査によれば、上場企業とその子会社が公表した個人情報漏洩などの件数は175件で、前年比で6.0%増加しました。このうち、サイバー攻撃によるウイルス感染や不正アクセスは93件で半数を占めています。その他、メールの誤送信や不正持ち出しなども、情報漏洩の原因として挙げられています。

従業員のヒューマンエラーや、標的型メール攻撃などのサイバー攻撃が原因で情報漏洩などの事故が起こることを、役員や従業員を含め全社で理解し、意識を向上させておかなければなりません。

そこで必要なのが、情報セキュリティ教育です。DX化やIT・ICTの活用において、サイバー攻撃への対処や人為的ミスを防ぐ手段を企業全体で学ぶ必要があります。情報セキュリティ教育を行うことでITリテラシーを向上させ、全従業員が同じレベルのセキュリティ知識を持つことが不可欠です。

情報セキュリティ被害を受けた場合のリスクとは

情報セキュリティ被害を受けると、どのようなリスクがあるのでしょうか。ここでは、大きく2つのリスクについてみていきましょう。

情報セキュリティ被害を受けた場合のリスク

サイバー攻撃によるリスク

標的型攻撃やランサムウェアによる被害は後を絶ちません。また、テレワーク環境を狙った攻撃も発生しています。

標的型攻撃は、特定の企業や個人を攻撃するサイバー攻撃で、情報の盗聴やシステムの破壊など明確な目的を持つことが特徴です。

たとえば、企業に攻撃を仕掛け、業務メールを装って従業員にメールを送信します。メールを受け取った従業員は、何の疑いもなくメールを開き、添付ファイルを開くことでしょう。この一連の動作により、パソコンがマルウェアに感染し、不正アクセスを許してしまうのです。

また、ランサムウェアは、ランサム(身代金)を要求するソフトウェアのことです。企業のパソコンにランサムウェアを感染させてデータやシステムを暗号化することで業務を停止させます。その上で身代金を要求します。

テレワーク環境を狙ったサイバー攻撃は、自宅などセキュリティの弱い場所を狙って攻撃を仕掛けてくるものです。たとえば、クラウドサービスへ接続する際のセキュリティの脆弱性を狙ったり、Web会議の招待通知メールを装って不正サイトにアクセスさせたりします。

企業が利用しているシステムやネットワーク、業務環境などの脆弱性を攻撃してくるため、全てを防ぐことは難しいといえるでしょう。サイバー攻撃への対策を行うことは大前提として、マルウェアなどに感染した場合にどう対処すべきかを学んでおく必要があります。

「標的型攻撃」についてはこちらで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

経営リスク

サイバー攻撃を受けたり、ヒューマンエラーによって情報漏洩したりするなど、大きな事故が起きた場合には、企業の経営リスクにもつながります。

たとえば、情報漏洩が起こった場合、自社の機密情報だけではなく、お客様の個人情報や取引先の情報など、ステークホルダーの情報が外部に漏れてしまう可能性があります。

これは、企業の信用を著しく低下させ、企業経営自体に大きなダメージを与えます。場合によっては、経済的損失や法的責任を負うこともあるでしょう。たとえ、その原因がサイバー攻撃であっても、セキュリティ対策の不備やサイバー攻撃を受けた際の従業員の対応も問題視されるでしょう。

情報セキュリティ教育の学習テーマ事例

情報セキュリティ教育にはさまざまな項目があります。ここでは、一般的な項目の事例をみていきましょう。

セキュリティ基礎教育

情報セキュリティを理解する上で必要な基礎的用語や脅威動向を学習します。

サイバー攻撃の発生事例やその対策の考え方など、情報セキュリティ教育に必要な基礎を学ぶ工程です。特に、新入社員や一般社員に向けた教育となります。

個人情報保護の扱い方

企業で保有する個人情報の扱い方は、全従業員が学ぶ必要のある学習テーマです。

個人情報保護法の基礎や違反時の罰則内容などを学びます。また、情報漏洩におけるリスクが、企業だけでなくステークホルダーにまで及ぶことで、自社が損害を被るだけではなく顧客や取引先などの関係各所にまで被害が及ぶことを知ることが学習テーマとなります。

サイバー攻撃の種類や対応策

近年増えているサイバー攻撃の種類や対応策なども、重要な学習テーマとなります。

サイバー攻撃にどのようなものがあるのか、次々に新たな手法が生み出されており、対応しなければならない事実を学びます。また、サイバー攻撃を防御する方法はもちろん、サイバー攻撃を受けた場合の迅速な対処についても全従業員が対応できる学習が必要です。サイバー演習を実施して、実際に発生しているサイバー攻撃やセキュリティ脅威に対する本質的な対策を学習します。

自社におけるセキュリティのルール

自社における情報セキュリティの運用ルールを、全従業員が学ぶことも必須です。

たとえば、機密データの取り扱いやセキュリティポリシーが、自社でどのように運用されているのかを学習します。また、導入しているセキュリティソフトなど、情報セキュリティに関する技術についても把握します。

公衆無線LANの危険性

テレワークをはじめとした働き方が定着した現在、オフィス外からの業務遂行も可能です。その際、カフェなどで公衆無線LAN(Wi-Fiなど)のネットワークに接続して、業務データにアクセスすることもあるでしょう。

しかし、公衆無線LANは安全が確保されているネットワークではないことを学習しておかなければなりません。管理者の視点からは企業がテレワークを安全に運用する方法を、利用者の視点からは安全に利用する方法をテレワーク教育として学習します。

管理職や経営層向けの教育

情報セキュリティ教育は、新入社員や一般社員だけが学習する場ではありません。管理職や経営層も含めて、情報セキュリティの重要性を学ぶことが大切です。

管理職や経営層向けの教育では、サイバーセキュリティのさまざまな脅威から企業を保護し、強化・進展させるための意識や行動、考え方などを学習します。

新技術やトレンド情報

情報セキュリティ教育には、常に新しい情報を取り入れる必要があります。セキュリティ教育の啓発活動として、新技術やトレンド情報を取り入れた学習内容にすることが重要です。

国内外のセキュリティ市場における新技術やトレンド情報を学び、常に情報セキュリティに関する状況をアップデートします。

情報セキュリティ教育を進める際のポイント

情報セキュリティ教育は、企業によって学習すべきテーマも異なります。しかし、情報セキュリティ教育を進める際の基本的なポイントは共通するものです。

セキュリティポリシーを策定する

情報セキュリティ教育を始める前に、セキュリティポリシーを固めておきましょう。

セキュリティポリシーは、自社の業務や従業員の働き方などを考慮し、最適なセキュリティの在り方を提示する必要があります。自社のセキュリティにおける基本方針や、どのように実施するかを示すガイドラインを作りましょう。策定したセキュリティポリシーは、これからの情報セキュリティ教育をどのように進めていくかの基準になります。

教育の対象者を明確にする

誰に情報セキュリティ教育を受けてもらうべきか、その対象者を明確にしておきましょう。

たとえば、新入社員だけなのか、従業員全員か、経営陣も含めるのかなどを決めます。基本的には、企業に所属する従業員や経営層の全てを対象にすることが求められます。

また、業務委託先や個人事業主など、企業に関わる全ての関係者も対象にすることが望ましいでしょう。

適切な学習の方法を選定する

研修の実施方法はさまざまですが、その中から自社に適した教育方法を選定するのがポイントです。

大きくは、自社内で情報セキュリティ教育ができる体制を作るか、あるいは外部サービスを利用するかの2つに分かれるでしょう。

情報セキュリティについて幅広い知見があり、適切なカリキュラムや業務以外で教育を担当するための稼働が確保できる場合は、自社で内製できます。しかし、外部サービスを利用すれば、自社の人的リソースを使わずに済むため、特定の従業員の業務稼働を削る必要がありません。

外部講師を自社に招くスタイルや、eラーニングサービスを使ったサービスなどもあります。中でも、eラーニングサービスならば、教育を受けるために移動する必要がありません。また、サービスは低価格で実施されているものもあります。従業員や経営層全員が、時間や場所にとらわれることなくコストを抑えて教育を受けられることが、外部サービス利用のメリットです。

学習のタイミングを設定する

情報セキュリティ教育の学習タイミングを設定する必要があります。

たとえば、新入社員が入るタイミングでは、新人向けのセキュリティ研修を行います。そのタイミングにあわせて、全社でも情報セキュリティ教育を実施する、というのもよいでしょう。

仮に自社で情報漏洩をはじめとした情報セキュリティに関わる事故が起こった場合は、そのタイミングで実際の事例に基づいて再教育を行う必要もあります。

情報セキュリティ教育を進める際の注意点

情報セキュリティ教育は、1度限りではなく、年に1度など定期的に行うことが大切です。

セキュリティに関する情報は変化のスピードが速く、サイバー攻撃の数は増え続け、手口も変わっていきます。それに比例して新しいセキュリティ対策なども増えていきます。そのため、最新のサイバー攻撃に関する情報や、セキュリティに関する事故情報を定期的に収集し、適切な教育を定期的に継続して行わなければなりません。

また、情報セキュリティ教育は単なる研修ではなく、学習したことを日々の業務で生かす必要があります。全社で定期的に教育を実施して意識を高め続けることが大切です。

自分に合った教育方法やサービスを選定しよう

サイバー攻撃の増加やヒューマンエラーによる情報漏洩などの事故も増えています。情報セキュリティ教育は、現代の企業には欠かせないものになりました。全社で情報セキュリティに関するリテラシーを向上させていかなければなりません。どのように情報セキュリティ教育を実施するかについては、自社で内製したり、外部サービスを利用したりする方法がありますので、自社に適した手段を検討しましょう。

自社で内製する場合は、担当者の本来の業務を情報セキュリティ教育のための準備や実施時間に割かなければなりません。そのため、外部サービスを利用して効率化を図ることを検討するとよいでしょう。
 
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当社の「セキュリティ教育・訓練サービス」の詳細についてはこちらをご覧ください。



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