サイバー・セキュリティ・ソリューション部
テクニカルスペシャリスト 谷口 純一郎
前回はネットワーク周りの現地作業についてのコラムでしたが、現地作業に到達するまえに準備段階の時点で終わってしまいました。そのぐらい準備が大切ということですね。
今回は「ITエンジニアの現地作業 ミスを減らす!事前準備のポイントとは」の続きということで後編になります。ようやく現地作業のお話になります。
以下に、現地作業関連での重要な事項を記載していきます。
作業手順書の工夫
手順書の順番
私は手順書の項番は、一動作ごとに分けたい派です。①を選択して、次に②を選択して、③で「OK」をクリックというような手順の場合、①~③を一つの項番にまとめている手順もありますが、私の場合は、①、②、③はすべて別の項番にし、それぞれチェックボックスを設けるようにします。
こうすることで作業漏れを防ぐ確率が上がるからです。手順書作成になかなか手間がかかりますが、作業ミスしてしまったときのことを考えると、手間と時間をかけたほうが良いですね。
コピー&ペースト
コマンドを入力する場合は、キーボード入力ではなくコピー&ペーストできるように手順書の別シートや別ファイルなどに用意しておきます。入力ミスを減らせるだけでなく、作業スピードもあがります。作業時間
バックアップやバージョンアップなどの時間が思ったよりも長く、時間が予定よりも押してしまう場合があります。そのような項目は多少余裕を見た予定時間を入れておくのが無難かと思います。事前にある程度の待ち時間が発生することが分かっている場合は、その間に別の作業を進められるようなら、そちらの作業を行う手順にします。
作業時
指さし確認
目だけでなく、指や口でも確認することでミスを減らします。みなさん一度は見たことがあるはずです。電車の運転士の方は、必ず声に出して、指差し確認もしていますね。
昨年末のことになります。三重県に出かけた際、公共バスに乗りました。そのときの運転手の方が、交差点、横断歩道を通過する前に、毎回「交差点よし、横断歩道よーし」と乗客にも聞こえるようマイクを入れたまま声を出していました。
ハンドルから手を離せないため、指さし確認はなく声だけでしたが、これぞプロの仕事だなといたく感心しました。
乗客は安心して乗ることができますね。結局、目的地に着くまで、すべての交差点で確認の声を出していました。業務に対するプロ意識、見習わせていただきます。
実は指差し確認は作業時だけでなく、メール送信時にも使えます。
かつての上司が実施しているのを見て、私も社外にメールを送信するときは、可能な限り実施するようにしています。声は出しませんが、周りから奇妙な視線を浴びない程度の指さし確認をしています。
2人1組での作業
鉄則ですね。待機系のとあるパーツを抜く予定のところを、間違えて本番系の方のパーツを抜いてしまった、というケースがありました。
作業人数は2人でしたが、このときはそれぞれ別のことをしていたために二重確認ができていませんでした。2人いても同じ作業をしないと確認者の意味がないわけですね。
緊急事態でどうしても1人で作業しなければならない状況のときは、さきほどの指、口での確認を行いましょう。恥ずかしいなんて言っていられません。
チェックシート
チェックボックスが多い場合や慣れている作業の場合、いちいちチェックするのが面倒なため、あとでまとめてチェックしようと思ってしまうかもしれませんが、絶対だめです。どのような作業でも、ひとつひとつ丁寧に行いたいですね。
小休憩
私は適度な休憩を入れたい派です。建築関係の現場では10時、15時前後で休憩しますが、そうすることで作業効率が上がるからだと思っています。
現地作業でお手伝いいただく場合がある、ファシリティ側の業者の方も適宜休憩を入れているのをよく見かけます。
集中力は3時間も4時間も続かないと思います。SE側もお昼休憩以外に5分程度の小休憩を入れるべきだと声を大にして言いたいです。とはいえ、タイムスケジュールや作業項目に小休憩は入れづらいのですが、今後はねじ込んでみようと思います。
トラブル発生時
環境を十分理解し、抜かりない手順書を作成して準備万端で作業に臨んでも、予定通りうまくいかない場合があります。そのようなときは早く立て直そうと焦り気味になってしまいますが、慌ててはいけません。「急がなければいけないときほどゆっくり作業しなさい」とその道35年の大ベテランの方にかつて教わったことがあり、いまも当時のことやその方の名前も覚えています。大ベテランの言葉は重いですね。
非常時は、手順書にない作業を行うわけですから、慌てて作業をすると二次被害を招いてしまうわけですね。
最後に
以上、現地作業での大事なことを書き出しました。現地作業は、普段の生活では行けない場所や裏側を覗けるところに若干興奮しますし、作業を無事にやり終えたときの達成感は格別です。
インフラの仕事で一番楽しいのは、やはり現地作業だなと再認識しました。確実に作業を終えられるよう、今後も準備段階での手間を惜しまず仕事に励みます。
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