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【ナレッジコラム】メタバースとは?Web3.0との関連性や将来的なビジネス活用の可能性を解説

2021年10月、世界的企業であるFacebookが社名を「Meta(メタ)」に変更すると発表したことで、知名度が向上した「メタバース」。しかし、2022年7月時点ではメタバースの定義は曖昧で、具体的にどのようなものかを明確に示すのは困難です。ただし、IT技術の進化もあり、ビジネス面も含め大きく発展する可能性は高いといえるでしょう。今回は、新たな発展が期待されるメタバースについて、概要やWeb3.0、NFTとの関連性を見たうえで、将来的なビジネス活用の可能性について紹介します。

メタバースとは?

メタバースとは、超越という意味の「Meta」と、宇宙という意味の「Universe」を組み合わせた造語です。

メタバースという言葉は30年以上前からあるものの、いまだに明確な定義があるわけではなく、認知を得たのも近年になってからといえます。ただ、多くの場合、インターネット上に作られた仮想空間のなかで、ユーザーが自分の分身となるアバターを操作しながら他者と交流する場というのが共通の認識です。

メタバースとVRの関係性

ゲームでは、もう何年も前からメタバース的な世界が当たり前になっています。代表的なものとして挙げられるのは、「あつまれ どうぶつの森」や「フォートナイト」などです。ゲームが主目的ですが、自分の分身(アバター)を使って、同じようにゲーム内にいる他者と交流を図れる点は、上述したメタバースの共通認識を満たしています。

ここで注目すべきポイントは、「あつまれ どうぶつの森」も「フォートナイト」も見た目は普通のゲームをやっているのと変わらない点です。メタバースというとVRゴーグルを思い浮かべるかもしれませんが、VRは、目的とする環境への没入感を高めるための道具でしかありません。

VRを使っているからメタバース、使っていなければメタバースではないという認識は間違いです。作られた世界のなかで他者と交流を図る、仕事をする、遊ぶといったことが可能になるという点が重要なポイントといえるでしょう。

メタバースが活用されている主なシーン

現在、メタバースが活用されている主なシーンは、ゲームや映画のようなエンターテインメントの世界。そして、ビジネスの世界の大きく2つです。

エンターテインメントの世界でのメタバース

ゲームは、前項でも挙げた、「あつまれ どうぶつの森」や「フォートナイト」。それ以外にも、「マインクラフト」「ファイナルファンタジー14」などもメタバースのひとつといわれています。

また、VRの世界、オアシスを舞台に主人公が活躍する映画『レディ・プレイヤー1』。オンライン参加型ゲームのモブ(背景)キャラがヒーローを目指す『フリー・ガイ』。インターネット上の仮想世界の混乱に立ち向かう主人公を描く『サマーウォーズ』など、メタバースは映画の題材としてもよく使われています。

ほかにも、ミュージシャンが仮想空間でライブを行うケースも増えていて、2021年11月には世界的ミュージシャンであるジャスティン・ビーバーが、「Wave」でライブを開催。また、日本でも2022年6月には、株式会社HIKKYがメタバース空間での音楽クリエイターの祭典「MusicVket 4」を開催しました。

ビジネスの世界でのメタバース

ビジネスの世界でのメタバースは、エンターテインメントの世界ほど目立ったものはありません。しかしそのなかでも、注目を集めているのは、元FacebookのMetaが2021年8月にオープンベータ版をリリースした「Horizon Workrooms」でしょう。

Horizon Workroomsは、仕事の部署やチームメンバーがどこにいてもコラボレーションを可能にするVR空間です。VR空間内にあるホワイトボードをメンバー同士で使ったり、自分のコンピューターやキーボードをVR内で使ったりもできます。

なお、Horizon Workroomsは、VRヘッドセットを使って参加しますが、ビデオ会議に外部から参加するだけなら、ヘッドセットがなくても可能です。

またECビジネスの分野では、仮想空間に店舗を出し、客がアバターとなって店内を巡りながら買い物ができるバーチャル店舗が少しずつ増えています。代表的な例として挙げられるのは、三越伊勢丹による、スマートフォン向け仮想都市空間プラットフォーム「REV WORLDS」です。

仮想新宿にある仮想店舗内では実際に伊勢丹が販売している商品が並んでおり、気に入ったものがあればオンラインストアで購入します。アプリ内で友だちと、チャットしながらウィンドウショッピングも楽しめます。また、実際のスタイリストがアバターを使い、オンライン接客を行うサービスもあります。

ほかにも、ゲームのなかに店舗を出店し、ゲーム内で使えるアイテムを販売するという形や、仮想空間のプラットフォームを提供したうえで、ユーザーが自由に作品を売買できるようにし、その手数料を徴収するといった形も、ビジネス世界でのメタバースの活用といえるでしょう。

メタバースとWeb3.0、NFTとの関連性

メタバースが今以上に普及していくために必要なもののひとつとして、NFTひいてはWeb3.0が挙げられます。NFTとは、Non-Fungible Tokenの略称で、「非代替性トークン」と訳される技術です。

具体的には、これまで容易に複製ができたデジタルコンテンツに対し、ブロックチェーン技術を用い、作成者や取引履歴を紐づけられます。これにより、複製や改ざんを困難にし、デジタルコンテンツに唯一性の価値を持たせることが可能です。

Web3.0とブロックチェーン、NFTの関連性

これまでWebの世界では、GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazon)やBAT(Baidu・Alibaba・Tencent※すべて中国のネット企業)などの巨大プラットフォーム(特定企業)に情報が集中する、いわゆるWeb2.0と呼ばれる状況が長く続いていました。

インターネットユーザーは、GAFAやBATが提供するサービスを使えば、自由に情報発信できるメリットがある半面、さまざまな個人情報を取られ、管理されるデメリットもあります。自分たちが発信する情報は自分たちで管理し、分散的なインターネットを実現しようとする流れがWeb3.0です。そして、Web3.0の実現に欠かせないのがデータの取引記録を、暗号技術を用いて分散的に処理・記録するブロックチェーンによるNFTです。

※Web3.0についてより詳しく知るには、「Web3.0は従来のWebとどう違う?注目される背景やビジネス事例を紹介」をご覧ください。

メタバースの普及にNFTが必要な理由

メタバースの普及になぜNFTが必要かといえば、個人や企業、団体が作成したデジタルコンテンツをメタバース内で取引可能にすれば、独自の経済圏を生み出せるからです。メタバース内で土地売買、アート作品やファッションアイテムの売買をする際、オリジナルを証明するためにはNFTの技術が欠かせません。

これらの取引がメタバース内でできるとなれば、土地やオリジナルアイテムを求めるユーザーが集まるようになり、今以上に大きな注目を集められるようになるでしょう。メタバースでしか入手できない価値を多くのユーザーが認識するようになれば、メタバースがさらなる普及を果たす要因となります。

メタバースの現在地と将来

2021年11月、暗号資産投資大手のグレイスケールは、メタバースが生み出す収益は、2020年の1,800億ドルから2025年には4,000億ドル、そして将来的には、1兆ドルを超えると予測しました。ただ、2025年時点でのほとんどの収益はゲーム内での課金だとしています。

今回、例に挙げたゲームのほかにも、例えば「ポケモンGO」の開発で知られる「Niantic」では、VRメガネを使わない「現実世界のメタバース」と表現するメタバース構想を発表しました。現実世界とデジタル世界の接続による新たなメタバースの世界を提案しているのです。

ゲームの世界では、ゲームを有利に進めるための課金が多いですが、ゲームの課金は通常クレジットカードやプリペイドカードなどでも行えます。そのため、現時点ではメタバースにNFTは必ず必要とは言い切れないのが現状です。

ただ、ユーザー同士のコミュニケーションもゲームを楽しむ要素のひとつとしている場合は、オリジナルアイテムの販売が行われる可能性も高いといえます。場合によっては、三越伊勢丹の「REV WORLDS」がゲームの世界にできる、もしくは「REV WORLDS」のなかでゲームを楽しめるようにもなるかもしれません。

※メタバースでのビジネスの可能性についてより詳しくは、「仮想世界だけではない! メタバース実現に必要な技術を紹介|ID」をご覧ください。

メタバースのビジネス活用はさらなる技術と認知の向上が必須

メタバースの定義自体がまだ明確になっていない状況において、ビジネス活用がさらなる発展を遂げるかどうかはまだ見えにくい部分があるのも確かです。ただし、ブロックチェーン技術を用いたNFTによるWeb3.0がこのまま進んでいけば、メタバースもそのプラットフォームとして大きくなっていくことが予測できます。

現時点では、さらなる技術や認知の向上が必要ではあります。しかし、いざ大きな波が生まれた際に乗り遅れないようにするためには、メタバースとNFT、Web3.0などの関連性をしっかりと把握し、常に適切な対応が取れるようにしておくことが重要です。

かつて、「セカンドライフ」というメタバースのパイオニアのようなバーチャルの世界がありました。しかし、セカンドライフはその価値を最大限に活かすことなく役割を終えました。当時のメタバースと昨今のメタバースは何が異なるのでしょうか? こちらの記事では、メタバースが生み出す価値という観点でメタバースを解説しています。ぜひ、ご一読ください。

メタバースが解決するもの/すると期待されるもの | インフォメーション・ディベロプメント

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