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【エバンジェリスト・ボイス】ITを活用したスマート農業 ~野菜のお話~

株式会社IDデータセンターマネジメント
エバンジェリスト 水谷 知彦    水谷写真_100x150  

ID データセンターマネジメント社所属、エバンジェリストの水谷です。

皆様は、 with コロナの環境下、休日をどのようにお過ごしでしょうか。

私は先日、保育園に通う娘とプランターで人参の栽培をはじめました。タネ袋の説明書きをよく読まず購入してしまい、 20cm 程度育つ人参に対して、プランターの土部分の高さは 15cm 程度と、スタートから暗雲立ち込めている状況です。

さて、皆様は、野菜の F1 種と呼ばれるものをご存じでしょうか。

農業関連のお仕事に携わっていない方でも、最近改正が見送られ話題となった種苗法のニュースなどを通して既にご存じの方も多いかもしれません。

今回のコラムでは、 IT を活用したスマート農業を推進する上で必要となる、農業関連のお話に触れていきたいと思います。

(これまでのコラムはこちら)
  ※【エバンジェリスト・ボイス】アグリテックとは 農業(Agriculture)×Technology
  ※【エバンジェリスト・ボイス】農業で活躍するIT技術とは

では、野菜の F1 種と呼ばれるものがどのようなものか、具体的にお話していきたいと思います。

まず、 F1 とは、雑種第一代( first filial generation )を省略した表記になります。

雑種第一代を簡単に説明すると、ある異なった対立遺伝子を持つ両親(異なる品種)を交雑させた第 1 代目の子孫のことになります。この第 1 世代目の子孫は、両親から特定の性質を引き継ぎやすく、野菜の場合「味、形が安定している」「病気に強い」「発芽時期、育成期間がそろいやすい」など、人間が育成、販売しやすい性質を出すことができます。

この F1 種の野菜は、育成しやすく、多くの収穫が見込め、色、形が整っており、味も安定していることから、現在生産されている野菜の約 9 割を占めていると言われています。一般的なスーパーなどで購入する野菜のほとんどは、この F1 種に該当するとのことです。

普段安定した味、形、価格で野菜が買えるのは、この F1 種のお陰といった言ったところですね。

ただし、良いこと尽くめに見える F1 種ですが、 2 代目以降は、 1 代目で出ていた性質が安定して出なくなるといった特性があり、タネを取って栽培を続けること(自家増殖)は難しく、 1 代限りの品種となります。

種苗法の改正案で対象となっていた、自家増殖の制限では、タネを取って栽培を続けることにあまりメリットがない F1 種の野菜は、直接的な影響を受けることは少ないかもしれません。

ここから少し、種苗法の改正案で対象となっていた、自家増殖の制限について触れていきたいと思います。以降の内容は、種苗法の改正に賛成、反対するなどの意図がないことを事前のお伝えしておきます。

では、自家増殖の制限とはどの様な内容なのか、野菜を例に簡単に説明させていただきます。今まで野菜を育てて、育てた野菜からタネを取り、また野菜を育てて販売することに特に制限はありませんでした。この場合、 F1 種の様な 1 代のみの野菜以外は、はじめにタネを 1 度購入すれば、継続して同じ品質の野菜を作り続けることが可能になります。昔から世の中に流通している一般品種(固定種、在来種)であれば、タネを取って野菜を作り続けることに特に問題はないのですが、種苗会社などが開発した品種(登録品種)については、タネを取って野菜が作り続けられてしまうと、利益を得るタイミングがはじめのタネの販売時のみとなってしまい、開発費をなかなか回収できない問題がありました。この問題を解決するため、登録品種に限り、タネを取って野菜を作り続ける場合は、開発元の許諾が必要になるよう制限しようといった内容が自家増殖の制限になります。

自家増殖の制限が行えるようになれば、種苗会社などは許諾料で継続的に利益を得ることが可能になります。改正の意図の中には、得た利益の中から今まで以上に新たな品種の開発に資金が投入されることで、日本の品種開発力の底上げをして国際的な競争力を上げたいといった狙いもあるようです。

一消費者として、種苗法の改正により、どの程度、野菜の価格などに影響がでるのか気になりますが、 F1 種や一般品種など多様な選択肢がある中で、突然大幅に価格が上がることは考えづらいかもしれません。品種改良で育成のコストが大幅に下がり、価格が下がることも考えられますね。

種苗法の改正は、現在見送られている状況ですが、今後も議論が重ねられた上で検討が進められると考えます。 Web 上にある農家の方のコメントなどを見ているだけでも、登録品種も代が進むと先祖返りして品質が安定しなくなるので、定期的に種苗会社からタネや苗を購入しており種苗法が改正されてもあまり影響がないと言われている方や、登録品種のコストが上がることで F1 種や一般品種への切り替えが進み、多くの品種を保有している外資のアグリメジャーと呼ばれる会社にお金が流れてしまうかもしれない状況に疑問を持たれている方など、様々な意見があることが分かります。

農業に携わる立場、環境、育成している農作物によっても、改正による影響は変わってくると考えられますので、今後、様々な意見を取り入れた上でどの様に決断されていくのか注意深く見ていきたいと考えます。

最後に、皆様は、農林水産省が提供している“ BUZZ MAFF ばずまふ”と言う YouTube のチャンネルをご存じでしょうか。農業などに関連する動画がアップされており、内容が良い感じでゆるく、国の行政機関が提供しているとお堅いイメージを持ってしまいますが、肩の力を抜いて見られる内容となっております。再生時間も長くないので、ちょっとした休憩時間などの息抜きで視聴されてみてはいかがでしょうか。

農業を身近に感じることができるかもしれません。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

それではまた、次のコラムでお会いしましょう。

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水谷 知彦

株式会社IDデータセンターマネジメント ICTサービス第4部 テクニカルスペシャリスト

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