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【エバンジェリスト・ボイス】AIシステム開発プロジェクトのキーポイントとは

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エバンジェリスト 佐藤 聖

・新型コロナウイルス対策で在宅勤務が増えました
新型コロナウイルス感染防止対策として、在宅勤務に切り替えた方も多かったのではないでしょうか。
欧米では、以前から在宅勤務やリモートワークが根付いていましたが、GAFAによる在宅勤務を推進が社会的に大きな影響を与えたと思います。

1年前と比べて、日本ではDXへの関心が高まっています。
今年の春ごろのニュースでは、在宅勤務への移行による不安の声も聞かれました。
ゴールデンウイーク辺りになると在宅勤務でも意外と支障なく仕事ができると感じた方が増えていました。
しかし、感染者数が落ち着いたところでオフィス勤務に戻るところも多かったようです。
これから寒くなってくると新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザにも気を付けていかなければなりません。総合的に考えると感染症予防が継続的に必要になりそうです。

米国国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の所長アンソニー・ファウチ氏が学術誌Cellに寄稿した論文
「なぜ2019年後半に新型コロナウイルスが生まれたのか」(※1)を読むと現状の脅威を垣間見て取れます。
1-s2.0-S0092867420310126-gr2_lrg_3404x2917 掲載された上の図には、地図上の発生地や流行地に、 現在流行中のウイルス (赤字)、 過去に鎮静化したウイルスの再出現 (青字)で記載されています。
これを見ると想像以上に多様なウイルスが発生していることに驚きました。
図を見る限り、人口が多い地域で感染症が発生・流行していることが分かります。

※1:図の引用 外部サイト: Emerging Pandemic Diseases: How We Got to COVID-19


・今こそ、生産性向上のため働き方を見直すべきです
新型コロナウイルスだけでなく、季節性インフルエンザや年々大型化する台風など長い期間にわたって影響を受ける事象が増えています。
その時々の状況に応じて柔軟な対応が求められます。
最近の傾向として、IT開発以外でもオンライン○○やライブ○○などと称したインターネット上での企業活動、打ち合わせが増えました。

また、学生や専業主婦の働き方として店舗や会社に出向いてアルバイトやパートの仕事が急激に減少し、代わりにクラウドソーシングを活用した翻訳、書類作成、AIモデルのアノテーション作業などの仕事が増加しました。

しかし、オフィス勤務者の仕事の仕方は意外と変化していないようです。
オフィスと同様の働き方を在宅勤務やリモートワークで場所を変えて行うことが多いようです。
今までのワークフローや業務ルールのまま在宅勤務を行うといろいろと不都合が生じることもあるのではないでしょうか。

例えば、パソコンのセキュリティ管理、勤怠管理、仕事のツールがあります。
セキュリティ管理はイントラネットだけでなくリモートセキュリティを前提としたソリューションに変えていく必要があります。
夏には、企業のVPN接続のIDやパスワード流出による不正アクセスがニュースになりました。
イントラネットの設備をそのまま外部からVPN接続で利用していた場合は情報流出の可能性が高まります。

また、従来の勤怠管理方法のままでは非常に手間がかかります。
コラボレーションツールMicrosoft Teams、看板方式のタスク管理ツールTrello、チャットツールLINE Worksなどを活用すると
勤怠管理だけでなくタスク管理も行え、非同期のコミュニケーションツールとしても利用すると解決できるかもしれません。
相手と時間を合わせる必要がなく、お互いに作業を中断せずに都合の良いタイミングで確認でき、
パソコンでもスマホからでも利用できるので幅広い職種で作業の開始終了報告や進捗管理などに役立ちます。

仕事のツールは、一般的にオフィススイートを利用されることが多いのではないでしょうか。
また、在宅勤務で社内のファイルサーバにアクセスが制限されるなどの不便もあるかもしれません。
在宅勤務やリモートワークなどを前提とした場合、セキュリティや情報管理の観点からオフィススイートからワークフローシステムへの切り替えが望ましいと思います。


・AIを活用して業務を簡略化します
新型コロナウイルスの影響下でも、業務の自動化や効率化にAIを取り入れたいとの声も多くあるようです。
以前から画像認識による不良チェック、チャットボット、コールセンターの自動音声案内などがありました。
ただし、現実世界にある物を扱うAIはまだまだ少数派です。
例えば、アパレル業界では実店舗からECサイトへの急激な転換を迫られており、一気にIT化が進み、AIポーズ検出を使った着せ替えアプリやECサイトも登場しました。

スーパーの商品は5万〜10万点の商品があると言われています。
日本の小売業界ではRFID活用が活性傾向にありますが、先行していた海外ではRFIDからAIへの移行が起きています。
しかし、全ての商品を認識できるAIモデルはまだ聞いたことがありません。
ここには大きな課題があり、商品が多くなるとAIで学習するデータを大量に収集しなりません。
AIを機能させるには人間が用意したデータを使って学習させることが必要です。


・課題だったデータセット作成の自動化に成功
一般的にAIシステム開発プロジェクトは、素早く行える組織と時間がかかる組織の二極化傾向にあります。
成功のカギは品質の高いデータセットを素早く作成することです。
開発が進まないケースでは、データセット作成に大半のプロジェクト期間を当ててしまっているとこがあります。

この工程は重要ですが、タスクを効率よく高速に回すことが課題になります。
データセット作成が高速化できれば、AIシステム開発がよりスムーズになります。
今年のゴールデンウイークから6月末にかけて、プロトタイプのデータセット自動生成装置を作成しました。
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この装置を使うと商品を自動で商品撮影し、画像に対してアノテーションが行われ、データセットを自動出力します。
この装置では1日に100ラベルのデータセット(100種類の商品)が作れます。
検証では、お菓子のパッケージからデータセットを作り、AIモデルをiPhoneアプリに組み込んで実験しました。
動作画面は下記の図のようになり、パッケージをカメラで撮影すると画像認識の精度、商品名、価格が表示されます。

iPhoneアプリの動作イメージ図
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現在、20倍以上高速な次世代装置の計画を練っています。将来、当社サービスに利用されるかもしれません。


・終わりに
残念ながら新型コロナウイルスの影響はまだまだ続きそうです。私は引き続きAIシステムやAIアプリの高速開発を実現するため研究を引き続き取り組もうと考えています。

さまざまな企業が試行錯誤しており、参考になるところがたくさんあります。
皆様も、今とチャンスと捉えて働き方や身の回りの仕事を効率化することで、Afterコロナでは素晴らしい成果が出るのではないでしょうか。


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佐藤 聖

株式会社インフォメーション・ディベロプメント 先端技術部 エバンジェリスト

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