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【エバンジェリスト・ボイス】世界でも注目が高まるAI技術×農業がもたらす新たな展開

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株式会社IDデータセンターマネジメント
エバンジェリスト 水谷 知彦   水谷写真_100x150 

IDデータセンターマネジメント所属エバンジェリスト水谷です。

最近、世界的な天候不順、需要拡大による原材料価格、輸送費の高騰などから、身近な日用品や食品の価格が上昇しているニュースをよく見かけます。今後も世界的に需要の拡大は進んで行くと考えられるため、需要と供給のバランスが取れ価格が落ち着くまでしばらく時間が掛かるかもしれません。一消費者としては、早く価格が落ち着いてくれることを願うばかりです。

今回のコラムでは、今後食品の価格に影響を与えてくるかもしれない、農業で利用されているAIの技術について3つほど触れていきたいと思います。
近年日本の農業では、少子高齢化による労働力不足を解消するため、ITを得意とする企業の参入、ITを利用することに抵抗のない若い世代の就農などから、数多くのIT技術が利用されております。その中でもAIを利用した技術は、人間の作業負荷軽減、効率化、無駄をなくすなどの観点から大変注目度の高い技術となっております。

1. ドローンとAI

ドローンとAIを利用した技術があり、1つの例としてドローンを圃場(水田、畑など)の上空に飛ばして、圃場の情報を取得し生産に役立てるといったものがあります。
具体的には、ドローンを飛ばして、圃場全体の作物の情報を取得させます。取得させる情報は、作物の大きさ、色、形、病害虫の発生状況などになります。取得した情報からAIを利用して分析を行い、収穫量の予測、栄養のコントロール、病害虫対策に活用します。

今まで農家の方が、長年の経験で積み重ねてきた高度なノウハウで判断されていた作業を、ドローンとAIを利用して同じように行える環境が作られてきている形になります。目視による限界の排除、圃場全体の作物の状態を見るための作業負荷が軽減されることは、労働力不足に対する一つの答えになると考えられます。

イメージ田園風景

2. ロボットとAI

ロボットとAIを利用した技術の一例として作物の収穫をロボットで自動的に行うというものがあります。
具体的には、ロボットが圃場内を自動的に移動して、AIを利用して出荷できる状態に成長した作物を見つけて収穫するという技術です。
今まで農家の方が高度なノウハウで判断されていた出荷できる作物の見極め、手作業で行っていた収穫作業をAIとロボットを利用して自動で行える環境が作られてきている形になります。目視による判断、手作業による作業負荷が軽減されることは、こちらも労働力不足への一つの答えとなるでしょう。

ドローンとAIの活用事例にも言えることですが、AIを通して農家の方の高度なノウハウを活用できる環境は、農業のノウハウが不足している新規就農者にとって、作物育成失敗のリスクを軽減させることができる大変魅力的な環境になります。新規就農者が計画的に作物を生産できることで、新規就農者の離脱を防ぐことができるため、AI技術の普及は新規就農者を増やすため、今後重要な要素になってくるかもしれません。

3. 市場価格予測とAI

最後に作物の市場価格予測にAIを利用した技術があります。野菜などの作物の市場価格は、供給量によって大きく変わります。供給が十分にある状況で出荷を行うと、想定した販売価格より安くなったり、売れなくて廃棄になったりする可能性が出てきます。また逆に供給が少ない状況で出荷ができないと、販売機会の損失になってしまいます。この様な事態を避けるため、AIを利用した技術では、天候や流通量などの情報から市場の価格を予測して、適切な出荷タイミングを見極めます。

この技術は、作物の育成が天候に左右されやすい露地栽培では、あまり活用できませんが、作物の育成状況をコントロールできる植物工場では大変効果的に利用することができます。市場価格を予測して植物工場内の作物の育成を早めたり、遅くしたり、育成状況をコントロールして、適切なタイミングで出荷できるようになります。
今後、植物工場の自動化とAI技術の活用がさらに進めば、市場価格の予測から自動的に作物の育成計画を立て、種まきから育成、収穫、出荷までをすべて自動で行う植物工場が増えてくるかもしれません。

イメージ

この様にAIを利用した技術は、農業において大変効果的に利用できますが、課題が無いわけではありません。例えば、コストの面からある程度の規模がないとAI技術を利用するための費用が農家の大きな負担になってしまう可能性があります。また、AIを利用した識別では、作物によっては識別の精度が実用化レベルでない物もあります。その他にもロボットを利用した自動収穫では、ロボットが動きやすい環境を作ってあげないと、効率的に収穫できない場合があります。

ただし、この様な課題も継続的な研究、開発により、順次解決していくものと考えられます。
近い将来、後継者がいないため、耕作放棄された農地がAIとロボットの技術で再活用される例などが出てくるかもしれません。AIとロボットの技術を有効に活用できれば、人の介入は最小限で済むため、あまりコストを掛けず耕作放棄地の再活用を進めることが可能になると考えます。

最後に弊社IDグループでは、AIを含め多くの技術を研究、開発しております。また植物工場も運営しておりますので、次回以降のコラムでは、より具体的に農業、植物工場で利用されているIT技術をご紹介できればと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた、次のコラムでお会いしましょう。

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水谷 知彦

株式会社IDデータセンターマネジメント テクニカルスペシャリスト

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