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場面に応じて使い分け?Amazon Translateで翻訳のフォーマル度設定

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デジタルソリューション本部
エバンジェリスト 松岡 政之 matsuoka2_274x380

こんにちは。デジタルソリューション本部エバンジェリストの松岡です。
最近久しぶりに行こうと思った飲食店がなくなっていたりしてさみしい思いをしていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

私事ですが、先日在宅勤務中に室温がかなり上がってきたのでまだまだ春先ですが冷房をつけてしまいました。なにぶん、32コアのCPUのパソコンが室内で稼働しているうえに花粉症でこの時期窓を開けられないので、昼過ぎには室温が30度近くになってしまっていました。

ところがどっこい、冷房が壊れてしまったのか設定温度をいくら下げても室温が下がらず、むしろ上がっていき34度の灼熱地獄になってげんなりしました。とはいえ夏本番になってから気づいては命に係わるかもしれないので、このタイミングで気づけて良かったです。

1.はじめに

それでは本題です。
今回はAWSのニュースリリースを眺めていて面白そうな機能を見つけたので、試していきたいと思います。今回試すのは以下のアップデートです。
※外部サイト:「Amazon Translate で、フランス語、ドイツ語、ヒンディー語、イタリア語、日本語、およびスペイン語のフォーマル度のカスタマイズが可能に」
 
Amazon Translateは機械学習によるテキストベースでの言語翻訳サービスです。そして、上記のアップデートは翻訳でフォーマル度を指定できるという珍しいものです。対象言語は限られていますが、珍しく最初から日本語が含まれています。逆に英語は含まれていないので日本から海外展開する場合には使いづらいかもしれませんが、海外の製品やサービスを日本で紹介したい場合等に発信する対象ごとにフォーマル度を変えることでうまく使い分けられるかもしれません。

日本語以外の言語はフォーマルになっても私には判別できませんので、まずは日本語でどれだけ使える機能なのか試していきたいと思います。
それでは早速触っていってみましょう。

2.設定確認

まずは、フォーマル度の設定をどこから行えるのか確認していきましょう。
とりあえずAmazon Translateのコンソールを開きます。翻訳の下部に「追加設定」があるのでクリックして開くと「Formality」というスイッチが出てきます。これをクリックしてONにするとドロップダウンボックスが表示されますので、ここから「Formal」と「Informal」を選択できます。

Amazon Translateのコンソール

3.実践

それでは過去の私のコラムの中から抜粋して英訳し、それからフォーマル度を変えて日本語に再翻訳して結果を見ていきます。

実践(1)

まずは、前回の私のコラム「機械学習でドキュメント検索!?Amazon Kendraを試してみよう!」からの抜粋です。
今までAWSのインフラ系のサービスについて紹介してきましたが、今回は趣向を変えて機械学習のサービスについて紹介していきたいと思います。機械学習と聞くと専門の方以外は難しいと感じるかもしれません。正直私も詳しくないので難しいものという印象はあります。しかし、今回紹介するサービスは、機械学習について理解していなくても利用できるものです。
というわけで今回ご紹介するはAmazon Kendraというサービスです。皆様ご存じでしょうか?検索サービスや機械学習等に興味がある方以外には、あまり知られていないサービスかもしれません。AWSの公式サイトを見ると機械学習を利用したインテリジェント検索サービスと書かれています。

こちらを英訳すると以下の通りです。
Until now, we have introduced AWS infrastructure services, but this time I would like to change my tastes and introduce machine learning services. When you hear machine learning, you may find it difficult for anyone other than a specialist. To be honest, I'm not familiar with it, so I have the impression that it's difficult However, the services introduced this time can be used even if you don't understand machine learning.
That's why I'm going to introduce this time is a service called Amazon Kendra. Do you all know about it? Other than those who are interested in search services and machine learning, etc., it may be a service that is not well known. If you look at the official website of AWS, it says that it is an intelligent search service using machine learning. 
それではこれを、①フォーマル度設定:なし、②フォーマル度設定:Formal、③フォーマル度設定:Informalの3パターンで日本語翻訳をしてみます。その結果は以下の通りです。
 
①フォーマル度設定:なし
これまでAWSのインフラサービスを導入してきましたが、今回は趣味を変えて、機械学習サービスを紹介していきたいと思います。機械学習と聞くと、専門家以外の人にとっては難しいと感じるかもしれません。正直、馴染みが無いので難しい印象ですが、今回紹介したサービスは、機械学習がわからなくても使えます。

というわけで、今回紹介するのはAmazon Kendraというサービスです。皆知ってる?検索サービスや機械学習などに興味がある人以外は、あまり知られていないサービスかもしれません。AWSの公式サイトを見てみると、機械学習を使ったインテリジェントな検索サービスだそうです。
 
②フォーマル度設定:Formal
これまで、AWSのインフラストラクチャサービスを導入してきましたが、今回は好みを変えて機械学習サービスを紹介したいと思います。機械学習を聞くと、専門家以外の人にとっては難しいと感じるかもしれません。正直、よく知らないので、難しい印象ですが、今回紹介したサービスは、機械学習がわからなくても利用できます。

だから今回紹介するのは、Amazon Kendraというサービスです。皆さんはそれについて知っていますか?検索サービスや機械学習などに興味がある人以外は、あまり知られていないサービスかもしれません。AWSの公式ウェブサイトを見ると、機械学習を使ったインテリジェントな検索サービスだと書かれています。
 
③フォーマル度設定:Informal
これまで、AWSのインフラストラクチャサービスを導入してきましたが、今回は好みを変えて機械学習サービスを紹介したいと思う。機械学習を聞くと、専門家以外の人にとっては難しいと感じるかもしれない。正直、よく知らないので、難しい印象があるけど、今回紹介したサービスは、機械学習がわからなくても使える。
だから今回紹介するのは、Amazon Kendraというサービスだ。皆そのことを知っている?検索サービスや機械学習などに興味がある人以外は、あまり知られていないサービスかもしれない。AWSの公式ウェブサイトを見ると、機械学習を使ったインテリジェントな検索サービスだと言われている。
 
 
これらの結果を見比べてみると、フォーマル度の設定なしだと元の英文によるのか丁寧な言い回しと砕けた言い回しが混在しています。一方で、Formalはですます調で単語のつなぎも丁寧なものがチョイスされており、Informalは完全に砕けた言い方になっていることがわかります。
ただし、デフォルトでは「というわけで」と訳されていた部分が、フォーマル設定を有効化することで「だから」となっているなど、多少つなぎとして違和感のある部分も見受けられます。実際に利用する場合は、デフォルトと両方試してみてより良い方をチョイスするなどの工夫をした方がいいかもしれません。
そして、Informalのものについてはなかなかビジネスでは使わない言い回しです。ゲーム内でのセリフなどの砕けた会話の翻訳など、限られた場面では役に立ちそうですが、我々のようなBtoBのSIerではなかなか活用できる機会は少ないかもしれません。
たった1例だけでは物足りないので、別の文章でも試してみます。

実践(2)

まずは、私の初のコラム「忘れたころに振り返るCPUの脆弱性」からの抜粋です。こちらは実践①に比べて専門的な用語や説明的な言い回しが多い文章となっています。
 
通常は、Aが1以下の場合は処理①は実行されずに処理②が開始されます。しかし、[Aは1より大きい]という条件部分が評価に時間のかかる条件だった場合、次の流れを予測して条件の評価が終わる前に次の処理を開始します。これが投機的実行です。
  ※予測については「分岐予測(Branch Prediction)」というCPUの仕組みがあるのですが今回は割愛します。
 よって、「Yes」であると予測されると条件が評価される前に処理①が実行され、結果がキャッシュされます。その後、条件評価の結果Yesではなかった場合、処理①の実行結果はキャッシュから削除されます。投機的実行についてはなんとなく理解できましたでしょうか。予測がヒットすれば条件を評価している時間を待たずに処理を進められるのでCPUの処理時間が短くなるという機能です。

同様にこちらも英訳します。

Normally, if A is less than or equal to 1, process ① is not executed and process ② is started. However, if the condition part [A is greater than 1] is a condition that takes a long time to evaluate, it predicts the next flow and starts the next process before the evaluation of the condition is over. This is speculative execution.
 * Regarding prediction, there is a CPU mechanism called “Branch Prediction”, but this time I will omit it.
Therefore, if it is predicted to be Yes, Process ① is performed before the condition is evaluated, and the results are cached. Then, if the condition evaluation result is not Yes, the execution result of Process ① is removed from the cache. Did you somehow understand speculative execution? If the prediction hits, processing can proceed without waiting for the time when the condition is evaluated, so the CPU processing time will be shortened.

そして、①フォーマル度設定:なし、②フォーマル度設定:Formal、③フォーマル度設定:Informalの3パターンで日本語翻訳をします。その結果は以下の通りです。
 
①フォーマル度設定:なし
通常、A が 1 以下の場合、プロセス ① は実行されず、プロセス ② が開始されます。ただし、条件部 [A は 1 より大きい] が評価に時間がかかる条件であれば、次のフローを予測し、条件の評価が終わる前に次の処理を開始します。これは投機的実行です。
 ※予測に関しては「分岐予測」というCPUの仕組みがありますが、今回は省きます。
したがって、Yes と予測される場合は、条件が評価される前に Process ① が実行され、結果がキャッシュされます。そして、条件評価結果が「はい」でない場合、Process ① の実行結果はキャッシュから削除されます。投機的処刑をどういうわけか理解しましたか?予測がヒットすれば、条件が評価される時間を待たずに処理を進めることができるため、CPUの処理時間が短縮されます。
 
②フォーマル度設定:Formal
通常、Aが1以下の場合、プロセス ① は実行されず、プロセス ② が開始されます。ただし、条件部 [Aが1より大きい] が評価に時間がかかる条件であれば、次の流れを予測し、条件の評価が終了する前に次のプロセスを開始します。これは投機的処刑です。
 * 予測については、「分岐予測」と呼ばれるCPUの仕組みがありますが、今回は省略します。
したがって、「はい」と予測された場合、条件が評価される前にプロセス ① が実行され、結果がキャッシュされます。次に、条件評価結果が「はい」でない場合、Process ① の実行結果はキャッシュから削除されます。投機的処刑についてどうにか理解しましたか?予測に当てはまると、<.span>条件が評価されるのを待たずに処理を進めることができるため、CPUの処理時間が短縮されます。
 
③フォーマル度設定:Informal
通常、Aが1以下の場合、プロセス ① は実行されず、プロセス ② が開始される。しかし、条件部 [Aが1より大きい] が評価に時間がかかる条件であれば、次の流れを予測し、条件の評価が終わる前に次のプロセスを開始する。これは投機的処刑だ。
 * 予測については、「分岐予測」と呼ばれるCPUの仕組みがあるが、今回は省く。
したがって、「はい」と予測された場合、条件が評価される前にプロセス ① が実行され、結果がキャッシュされる。そして、条件評価結果が「はい」でない場合、Process ① の実行結果はキャッシュから削除される。投機的処刑についてどういうわけか理解できた?予測に当てはまると、条件が評価されるのを待たずに処理を進めることができるため、CPUの処理時間が短くなる。
 
 
こちらの結果を見比べていくと、もともとかたい文章だとフォーマル設定なしの場合とFormalの場合で大きな差はないようです。また、Informalに関してもですます調からだである調に変わったくらいで文章全体としては大きな差はないように見受けられます。
難解な文章を単語レベルで普段使うようなものに置き換えてくれるのではないかと淡い期待を抱いていましたが、さすがにそこまでは期待しすぎでした。

4.まとめ

今回はAmazon Translateという翻訳サービスに、フォーマル度という新たな設定が追加されたため試してみました。
結果として、語調や接続詞などについてはFormal, Informalの設定で大きく変わるため場面に応じた使い分けが活きそうだということがわかりましたが、単語レベルでの変化はほとんどないため難しい文章をかみ砕いてもらうなどといった使い方は難しそうです。
一方、例えばデフォルトとFormalで多少言い回しや接続詞が変わることで、若干日本語としての意味合いに変化が出てしまっている場合もあります。そのため、直接顧客に見せるものなどきっちりした文章の翻訳が必要な場合は、現時点では翻訳結果を手作業で修正する必要はありそうです。
とはいえ、思ったより変化があって面白い結果でした。今後の精度向上や意外な新機能についても期待したいですね。
それではよいクラウドライフを!

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松岡 政之

株式会社インフォメーション・ディベロプメント デジタルソリューション営業部 エバンジェリスト

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