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マネージドサービス(運用・保守)
近年、基幹システムなどをオンプレミスからクラウドサービスへ移行する企業が増えています。その理由の一つが、自社でのシステム管理負担を軽減するクラウドマネージドサービスの存在です。本コラムでは、そもそもクラウドマネージドサービスとは何なのか、オンプレミスと比較した場合のメリットや、クラウドマネージドサービスを利用する際のポイントや選択方法を解説します。
クラウドマネージドサービスとは
クラウドマネージドサービスとは、システムを構築するクラウドのインフラやアプリケーションの運用・保守を事業者がマネージド(管理)するサービスのことです。
例えば、クラウド上のサーバーに構築されたシステムや物理サーバー、ネットワークの稼働状況を事業者が監視・管理して、異常などが発生した場合にはユーザーにアラートを通知する、あるいは事業者が対処するなどのサービスがあります。
つまり、クラウドマネージドサービスを利用するユーザーは、インフラやアプリケーションの管理・メンテナンスを提供事業者に任せることができるということです。「ITインフラのアウトソーシング」だとイメージするとわかりやすいでしょう。
マネージドサービスの管理対象範囲
マネージドサービスは、事業者が提供するサービス内容によってその管理対象の範囲(責任範囲)が異なります。マネージドサービスの対象範囲としてわかりやすいのが、「IaaS」「PaaS」「SaaS」です。
■IaaS(Infrastructure as a Service)
IaaSは、サーバー構築に必要なインフラを提供してくれるサービスです。具体的な管理対象の範囲には、サーバー、ネットワーク、ストレージなどが含まれます。
ほとんどの場合、仮想化技術を利用してサーバーを構築することから、IaaSでは仮想サーバーを構築するためのハイパーバイザーまでが用意されています。ユーザーは、仮想化技術の上にOS(LinuxやWindowsなど)をインストールするところからシステム構築ができるため、比較的自由度の高いサービスだといえるでしょう。IaaSでユーザーが管理する範囲は、OSの設定・管理からアプリケーションを含めたシステム全般です。一方、仮想化技術以下のインフラについては、クラウド提供事業者の管理範囲となります。
- マネージドサービス提供事業者の管理対象範囲:
- ネットワーク
- サーバー
- ストレージ
- 仮想化技術
- ユーザーの管理対象範囲:
- OS
- ミドルウェア
- ランタイム
- データ
- アプリケーション
■PaaS(Platform as a Service)
PaaSは、サーバー構築に必要なミドルウェアやランタイムといった部分までを提供してくれるサービスです。
ユーザーは、サーバーやネットワークといったインフラはもちろん、OSやミドルウェアをインストールしたり、それらシステムを管理したりする必要はありません。つまり、アプリケーションを動かすための実行環境やデータベースまで用意されている環境であり、ユーザーが管理するのはデータやアプリケーションだけです。その他は、サービス提供事業者が管理します。
- マネージドサービス提供事業者の管理対象範囲:
- ネットワーク
- サーバー
- ストレージ
- 仮想化技術
- OS
- ミドルウェア
- ランタイム
- ユーザーの管理対象範囲:
- データ
- アプリケーション
■SaaS(Software as a Service)
SaaSは、ソフトウェアをクラウド上で提供してくれるサービスです。ユーザーが管理するのは、提供されるソフトウェアに適用するアドオンなどになります。
例えば、メールサービスの「Gmail」や、メッセージングサービスの「Slack」などをイメージするとわかりやすいでしょう。簡単にいえば、ID/パスワードを登録することですぐに利用できるクラウドのソフトウェアサービスのことです。ユーザーにとってカスタマイズ性は低くなりますが、ユーザー自身で管理する範囲は狭くなりますので、管理するための人的リソースを含めた運用コストを削減できます。
- マネージドサービス提供事業者の管理対象範囲:
- ネットワーク
- サーバー
- ストレージ
- 仮想化技術
- OS
- ミドルウェア
- ランタイム
- アプリケーション
- ユーザーの管理対象範囲:
- アプリケーションのアドオン など
オンプレミスと比較したクラウドマネージドのメリット
クラウドマネージドサービスを利用するメリットは、「IaaS」「PaaS」「SaaS」の例でもわかるように、システムインフラのメンテナンスを含めた運用を、クラウドサービス提供企業へ任せられることです。
オンプレミスでITインフラ環境を構築するには、物理的サーバーやネットワーク機器・ケーブルの構築(配線含む)をはじめ、サーバーを動かすためのOSやミドルウェアといったソフトウェアの構築から、それら環境を安定して稼働させるための継続的な運用・保守が必要です。また、ITインフラを運用するための人件費、機器の購入、稼働させるための電気代などのランニングコストに加え、専門知識を有する人材も必要になります。
一方、クラウドマネージドサービスならば、自社でできないことやコストカットしたい部分をアウトソースすることで、自社の負担を軽減できるのです。また、運用・保守の中でも負担の大きなセキュリティ対策についても、最新のセキュリティに対応した運用・管理を任せることができます。
クラウドマネージドを利用する際のポイント
クラウドマネージドサービスを利用するときのポイントとしては、「どこまでアウトソースするかを明確にしておく」ことです。
例えば、多くの企業が抱える主な課題には以下のような例が挙げられます。
- 業務に利用するメールやITツールといったアプリケーションだけ簡単に使いたい
- アプリケーションの開発に専念したいので、開発環境に必要なランタイムまでは管理して欲しい
- 開発環境から構築したいので、OSのインストールから構築できるサービスが良い
このように課題を見える化することで、自社が管理して欲しい部分が明確になり、適した事業者を選定することができるようになります。
クラウドマネージドサービスの選択と活用
自社の課題がわかり、どこまでをアウトソースするかが明確になれば、クラウドマネージドサービスを選定できます。
先述の「IaaS」「PaaS」「SaaS」で例えるならば、OS以上のカスタマイズ性を重視したいならばIaaS、管理をデータとアプリケーションだけに抑えたいならばPaaS、とにかくすぐにアプリケーションを使いたい、あるいはインフラ全般の管理をアウトソースしたいのであればSaaSを選ぶといった具合です。
マネージドサービスを効率的に活用するには、運用・保守のコストや、カスタマイズの柔軟性を考慮して、自社でどこまで管理するかを明確化しておくことが重要です。
まとめ
クラウドマネージドサービスとは、クラウド上に構築されたシステムの管理をするサービスのことです。マネージドサービスを利用することで、自社でまかなうべき専門知識や人的リソース、管理コストなどを削減できます。また、オンプレミスでシステム構築する場合に必要な物理的サーバーやネットワークなどの初期コストを抑えることが可能です。クラウドマネージドサービスをうまく利用するためにも、どこまでを事業者に管理して欲しいのかを明確にすることが大切です。
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