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Teslaのロボタクシー、問われる安全と採算

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こんにちは、IDアメリカのハムザ・アフメッドです。

交通は都市や郊外を生み出してきました。鉄道、自動車、航空機によって、人やモノ、知識が行き交う範囲は広がり、世界はより小さく、よりつながりやすくなってきました。今の経済や私たちの暮らしも、迅速に移動できる手段がなければ、ずいぶん違う姿になっていたでしょう。そして今、各社が自動運転の実現を競う中、交通は再び大きな一歩を踏み出そうとしています。

その最前線にいるのが、運転手を乗せずに乗客を運ぶロボタクシーです。Alphabet傘下のWaymoは、米国で無人の配車サービスを展開してきました。カメラやレーダー、レーザーで距離や形状を測るLiDARなどを組み合わせ、車両と運行を管理することで、信頼できる移動サービスを築こうとしています。

そこに、異なる考え方を持つ競争相手が加わりました。Teslaです。TeslaはRobotaxiサービスと専用車両のCybercabを通じて、独自の自動運転構想を進めています。目的はWaymoと同じで、人間の運転手を使わずに、乗客を目的地まで運ぶことです。しかし、それをどう実現し、誰に車両を所有してもらうかという考え方には、大きな違いがあります。

この違いは、車両そのものより重要になるかもしれません。私はTeslaの挑戦を、「AIが車を運転できるか」という話として見るだけでは、面白い部分を見落とすと考えています。Teslaの挑戦の裏には、ロボタクシーをどう安くし、どう増やすかという、もう一つの競争があるからです。

Uberの仕組みから学ぶ

Uberは、Googleのように社名そのものが動詞になった企業の一つです。英語では、どこかへ移動するときに「Uberする」と言います。それほど生活に入り込んだサービスも、利用者と運転手の両方に選ばれ続ける必要があります。料金が高すぎれば乗客が離れ、報酬が低すぎれば運転手が離れます。この調整を成り立たせるために、Uberは長期間にわたって赤字が続いていました。

では、運転手が必要なくなればどうでしょうか。少し冷たい話ですが、運転手への報酬が不要になるなら、移動サービスの費用を大きく下げられそうです。無人の車が次々と乗客を運び、会社にお金をもたらしてくれるはずです。まさに「金の卵を産むガチョウ」です。

……と、そこまで簡単なら苦労はありません。

運転手を機械に置き換えると、別の問題が数多く出てきます。車両を購入し、充電し、清掃し、保管し、故障すれば修理しなければなりません。忘れ物への対応や、車内が汚れた場合の処理まで、誰かが担当する必要があります。ハンドルを握る人がいなくなっても、車を走らせるための仕事は残ります。

一方、Uberの仕組みでは、車両の購入費や保守費、燃料費などの多くを運転手側が負担します。サービスを拡大するたびに、すべての車を自社で買う必要はありません。ロボタクシーで運転は自動化できても、車両を大量に保有する負担まで解消してくれるわけではないのです。

つまり、どちらの方法にも長所と短所があります。そして、その両方の良いところを取り込もうとしているのが、TeslaのCybercabです。

Cybercabが狙うもの

Cybercabは、運転手を必要としないことを前提に設計された車両です。ただし、Teslaが描く構想は、自社の車両だけを使う配車サービスにとどまりません。一般の人や企業が車両を購入し、ネットワークに参加させる可能性も示されています。所有者が車両に伴う費用を負担する代わりに、車両に乗客を運ばせることで収入を得るという考え方です。

この仕組みが成立すれば、Teslaはすべての車両を自ら購入せずに、ネットワークを拡大できます。Teslaは車両の販売でも収益を上げられ、所有者も車を働かせることで収入を得られる可能性があります。Uberのように外部の所有者から車両を集めながら、運転そのものは自動化するわけです。事業として見ると、なかなか巧みな構想です。

そう考えると、Cybercabの設計にも別の意味が見えてきます。TeslaはLiDARなどを組み合わせる方式ではなく、カメラを中心とする方式を重視しています。ハンドルやペダルもなく、車内は座席と大きなディスプレイが目立つ構成です。未来的な外観ですが、製造する部品や構造をできるだけ簡素にしようとしているようにも見えます。

もちろん、ハンドルをなくすことだけで製造費が劇的に下がるわけではありません。それでも、自動運転のためのハードウェアを簡素にし、量産しやすい車両にできれば、一般の購入者へ広く販売するうえで有利になります。Teslaの設計上の判断には、技術だけでなく、車両を増やす費用を抑える狙いもあると私は考えています。

この構想が実現すれば、交通事業の姿が変わる可能性があります。しかし、ここで一つ、避けて通れない問いがあります。Teslaは、本当にそれを実現できるのでしょうか。

カメラ中心で道路を理解できるのか

Teslaの構想がどれだけ巧みでも、安全に走れなければ意味がありません。特に目を引くのは、多くの自動運転企業が複数種類のセンサーを使う中で、Teslaがカメラを中心とする方式を選んでいることです。

LiDARやレーダーなどの追加のセンサーは、距離や速度、立体的な形状を把握したり、一つのセンサーが苦手とする状況を別のセンサーで補ったりする役割を担います。Teslaは、運転に必要な情報をカメラとAIで十分に理解できるという可能性に賭けています。

実際、視覚を使って道路を走る例なら、私たちは毎日見ています。私たち人間です。

人間は主に目を使い、距離を判断し、歩行者を認識し、信号や標識を読んでいます。その中心にあるのは、頭の前面に付いた二つの小さな「カメラ」です。

そう考えると、Teslaの発想がまったく無理なものとは言い切れません。複数のカメラで異なる方向を同時に見る車両は、視野の広さでは人間より有利な面もあります。しかし、画像から必要な情報を得られることと、AIがそれを十分な信頼性で理解できることは別の話です。

逆光、悪天候、カメラの汚れ、工事で変更された車線など、道路には例外があふれています。Teslaが少ないハードウェアでこれらに対応できれば強みになりますが、対応しきれない場面が残れば弱点にもなり得ます。結局は、実際の道路で結果を示す必要があります。

事故件数だけでは見えないこと

その結果を確認しようとすると、意外に難しいことに気付きます。何台が実際に走り、どれくらいの距離を走り、どの条件で運行しているのか。こうした情報がそろわなければ、企業同士を公平に比較することはできません。

事故の件数にも同じ問題があります。Waymoの事故がTeslaより多く記録されていたとしても、それだけでTeslaの方が安全とは言えません。走行距離の違いを無視すると、たくさん走っている企業ほど不利に見えてしまいます。

より知りたいのは、一定の走行距離あたり、どのような事故が起きたかです。他の車に追突されたのか、自動運転車の判断が事故につながったのか。物損だけなのか、負傷者がいたのか。目撃情報を集めたサイトは参考になりますが、独自に分類した事故の責任を、公式な判断と同じように扱うことはできません。

また、TeslaのModel YによるRobotaxiサービスと、専用車両のCybercabは区別する必要があります。Robotaxiの過去の事故をすべてCybercabの事故として紹介すれば、車両や運用の違いが見えなくなります。さらに、事故が少ない段階では、1件増えるだけでも割合が大きく変わります。数字は有用ですが、その数字が何を数えているかを確かめなければ、簡単に違う結論へ導かれてしまいます。

そして、事故や立ち往生の話を追うと、カメラやAIほど目立たないものの、この業界を支える重要な存在が見えてきます。人間の遠隔支援担当者です。

人間が支える自動運転

「無人の車」と聞くと、すべてを機械が解決しているように感じます。しかし、運転席に人がいなくても、運行の裏側には人がいます。工事区間、通行不能な道路、緊急車両、通常とは異なる交通の流れなど、車両が判断に迷う状況では、遠隔からの支援が役立ちます。

Waymoでは、車両が必要に応じて遠隔支援担当者へ追加情報を求め、担当者は判断の助けになる情報や助言を提供します。ただし、担当者が遠隔で車両を運転するわけではなく、どう走るかを決める主体は自動運転システムです。

遠隔支援があるから自動運転ではない、と考えるのも単純すぎます。珍しい状況で人間の助けを借りる仕組みは、安全に運行を続けるための一つの方法です。問題は、どのような場面で、どれほど頻繁に支援が必要になるかです。

遠隔支援にかかる費用と効率

仮に車が走行時間の99%を自力で走れたとしても、残りの1%で頻繁に人の助けが必要になるとします。その場合、運転手をなくしても、別の場所で人件費が膨らみます。

理想は、1人の担当者が多くの車両を支えられること、そして支援が必要なのは本当に珍しい場面に限られることです。

Waymoは2026年2月、約3,000台の車両に対し、世界全体で常時約70人の遠隔支援担当者が勤務していると説明しました。単純に割れば1人あたり約43台ですが、担当者が常時監視しているわけではなく、車両からの要請に応じて対応する仕組みです。この数字だけでは、支援の頻度や負担までは分かりません。

より有用な指標は、走行距離あたりの支援回数や1回の対応時間です。また、複数の車両が同時に支援を求めたときに対応できなければ、車両は止まったままになります。

人間の関与を減らせば運営費を抑えられますが、必要な支援まで削れば、安全性や利用者の安心感を損ないます。このバランスも、避けて通れない課題です。

自動運転車はどう判断するのか

では、人の助けを減らすために、車そのものは何をしなければならないのでしょうか。自動運転車はセンサーで周囲を捉え、物体の動きを予測し、安全な経路を計画し、その判断を操舵、加速、ブレーキへ変換します。歩行者を発見するだけでなく、その人が道路へ出てきそうかまで予測する必要があります。

道路上のあらゆる出来事を、一つずつルールとして書くことは困難です。そこで、大量のデータからパターンを学び、次の動きを予測するAIが重要になります。

ChatGPTのようなものが、そのまま車を運転しているという意味ではありません。ただ、大規模なモデルがデータから学ぶという考え方は共通しています。そのうえで、判断できない場面では無理をせず止まる仕組みも必要です。

なお、一般ユーザー向けのFSD(Full Self-Driving[Supervised])は、人間の運転手による監督が必要な運転支援機能です。無人のRobotaxiサービスとは、利用条件も責任も異なります。同じTeslaの技術だからといって、一般の購入者がそのまま運転を任せてよいわけではありません。

Cybercabは買ってもらえるか

Waymoは、無人の移動サービスが実際に機能することを示してきました。Teslaに求められるのも、まずは安全で安定した運行です。しかし、事業として見た場合には、もう一つ大きな試練があると私は考えています。消費者や企業に、実際にCybercabを買ってもらえるのでしょうか。

所有者が参加するモデルは、一般の人々が「自分も1台持ちたい」と思ってこそ成立します。そのためには、車両の性能だけでなく、所有者に利益が残る仕組みも必要です。

この仕組みが実現すれば、Teslaは外部の資本を使って車両を増やせます。その方法が成功すれば、競合も似た仕組みを試すかもしれません。ただし、車両を誰が管理し、事故の責任を誰が負い、サービスの品質をどう保つかという課題は残ります。

Cybercabの設計やTeslaの構想が、ネットワークを拡大する費用の削減を意図しているという見方には、私自身の解釈も含まれます。それでも、この業界の競争をセンサーの数やAIの性能だけで見るのは、もったいないと思います。

もし一般の人がCybercabを購入し、自分に収入をもたらす車として道路へ送り出したいと考えるようになれば、変わるのはロボタクシー業界だけではないかもしれません。車は、自分が移動するための道具であると同時に、他の人の移動を支える存在にもなるでしょう。

車を所有することの意味そのものが変わるかもしれません。



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